この記事ではバットのバランスの概要と、中学生にはミドルバランスをおすすめする理由を紹介しています。
同じ種類のバットでもバランスが違うものが販売されており、その選択は非常に難しいものです。
そこで、ここでは選手のタイプ別に合わせたバットバランスの選び方、「中学生はミドルバランスを選ぶべき」理由を経験から紹介します。
後半は一球たろうの個人的見解ですが、経験に基づいてお話しています。
バット選びで困る「バランス」。どのバランスが自分に向いているのか?
監督!今度父ちゃんにバットを買ってもらえるようになりました!どんなバットを選ぶのがいいですか?
金属やウレタンといった素材、メーカー、重たさ…いろいろ考慮しなければいけないが、まずはバランスを決めよう。そのバランスがないというバットもあるからな。
どんなバランスのバットを買えばいいですか?
自分の目指すバッター像、そして自分のスイングや力に合ったバット選びが大事だ!今日はそこを紹介しよう!
バット選びは重要です。何十本も一度に購入できるならまだしも、普通はそのような家庭はありません。
そこでまずは、バット選びの中でも「困る」という声が多くある「バランス」選び。
基本的には「トップバランス」「ミドルバランス」「カウンターバランス」がありますが、どう違うのでしょうか。
トップバランスは長距離ヒッター
図のように金づちの先端に重りがあると、一発で釘は深く埋まりますが、釘を捉えるのは難しくなりますよね。
バランス | メリット | デメリット |
トップバランス |
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これがトップバランスの効果です。
重さがバットの先端にあるため、ボールがよく飛ぶ分、バットコントロールがしにくいのがネック。
つまりバットを操る筋力が必要なため、トップバランスは長距離ヒッター向きだと言えます。しかし、初心者でまだ力がないのに、長距離というだけで選んでしまうのを見かけます。よく考えてバット選びをさせましょう。
ミドルバランスは中距離ヒッター
トップバランスに比べると、金づちの重心は若干下にあり、釘の刺さり具合は短くなる分、釘を捉えやすくなります。
バランス | メリット | デメリット |
ミドルバランス |
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重心がトップに比べると根本に近いところにあるため、飛距離は中距離ですが、バットコントロールはしやすく、芯で捉える可能性は高いです。
後述しますが、僕は中学生にとってミドルバランスが最も良いバランスのバットだと考えます。
カウンターバランスは短距離でミート中心
これまでの図と比べると、金づちの重心が最も根本にあるため、釘はなかなか刺さりません。しかし、その分釘を捉えることは最もしやすいです。
バランス | メリット | デメリット |
カウンターバランス |
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カウンターバランスは最もミートに適したバランスのバットだと言えます。なぜなら最もバットコントロールしやすいからです。
一方捉えても飛距離が出ないので、単打や鋭い打球でコツコツと、という選手に向いているバットですね。初心者からは最も嫌われるバットです。
やはり「飛ばない」のがネックになるようですが、「ヒットと三振どっちがいい?」なんて聞くと意外と素直にカウンターバランスの良さに気付くこともあります。
やっぱりバッティングの醍醐味はホームラン!俺はトップバランスが好きです!
「好き」と「適性」は別物だからな。とくにお前は中学生。「これ」と決めずにいろいろな可能性を探ってみよう!
中学生のバット選びで迷うなら「ミドルバランス」が絶対おすすめ!
まだ子どもが中学生で、これといった明確なバット選びのこだわりがないのであれば、「ミドルバランス」を絶対に購入すべきです。
なぜなら、ミドルバランスが最も打率を向上させてくれるから。
結局10打席のうち1本HRを打ち、9打席アウトになるのと、10打席のうち0本のHRと3本のヒット(長打含む)であれば、絶対にヒットの方がチームに貢献できていますよね。
またトップバランスより飛ばないという要素も、それを補う性能がミドルバランスにはあります。
中学生の筋力でトップバランスを振り回せるのは一部
全国大会常連クラスのチームであれば、1番~9番までトップバランスを使える選手がそろっているかもしれません。
しかしそれは稀なケースで、中学生でトップバランスを操れるだけの筋力をもった選手は10人いたら1人いるかいないか程度のものです。
トップバランスのバットで詰まってしまうくらいなら、ミドルバランスできちんと芯で捉えた方が飛びます。
またミドルバランスは振り抜きやすいため、フォロースルーも大きく取りやすいです。フォロースルーは飛距離を出すのに大事な動作。トップバランスに劣るのデメリットを技術とバットの軽さでフォローできます。
バットの性能が飛距離をカバーしてくれる
近年のバット性能の向上は、10年前のバットなど比になりません。バットの素材やミート部の工夫は、緻密なほど作り上げられています。
例えばポールまでの距離が85mの球場、その選手の筋力で、MAX110m飛ばせるトップバランスと、MAX90m飛ばせるミドルバランス。
どちらにしてもきれいに芯で捉えて、HRになるのであれば、MAX=芯で捉える確率が高い方を選ぶべきです。また、いつでもHRが出るわけではありません。状況によっては単打でも良いのです。
ミドルバランスのバットでも、メーカーの技術力でHRになるように設計されています。
というか、単打が出るだけでも十分です。ミドルバランスでの飛距離は、メーカーの技術力が補ってくれます。
捉えやすさで言えばカウンターバランスでは…?
ここまでなると「それならばカウンターバランスの方がいいのでは?」となりますよね。
カウンターバランスもいいのですが、そうなると今度は打球の速さや飛距離に文句が出てしまいます。
カウンターバランスのバットでは、内野の間を抜けても、外野の間を抜くまでの打球速度にはなりにくいです。
長打というのは飛距離だけではありません。打球が速ければ、外野の間を抜くと長打になります。
なんだかんだ言って、飛距離も必要な場面があり、バッティング全体を考えたとき、やはりミドルバランスに敵う性能を持ったバットはないです。
もちろん理論的な話で、すべての中学生に当てはまるわけではないがな!
なるほど。ミドルバランスも魅力的に思えてきました。
ではここからはさらに、ミドルバランスのバットの使用にまつわる体験談を紹介する!お前の先輩たちだ!
ミドルバランスのバットを使ってみた!
ここからは、ミドルバランスのバットを使ってみた体験や実績を紹介します。
これらの体験や実績があるので、僕は「バット選びに迷ったら、中学生ならミドルバランス」と言うのです。
ミドルバランスを使う選手の打率向上
なかなか打てなかったチーム。道具に頼ることの重要性を知っている僕は、チームにミドルバランスのバットを使用するよう指示しました(半ば強制)。
(道具に頼る重要性に気付けた記事はこちらから)
全員とはいきませんでしたが、とくに力があるわけでもなく、ないわけでもない選手の打率が1割向上しました。1割向上した中身を見てみると、内野を抜ける当たりが増えたのです。
とくに右打ちの子どもは三遊間を抜ける当たり、左打ちの子どもは一二塁間を抜ける当たりが増えました。
おそらくこれは、ミドルバランスに変えたことでスイングスピードが向上し、最も力を発揮できる「引っ張り」になっていたからだと考えれます。
つまり中学生の力はまだまだ発展途上であるため、そこに適しているのがミドルバランスのバットなのです。
一球たろう自身の経験
僕が高校生の頃の話です。当時中田翔選手が扱うトップバランスのバット「Vコング」全盛期で、周りの友人も皆トップバランス信者たちでした。
僕は流行に乗るのが嫌いだったので、「振り抜きやすさ」「ホームランよりヒットを多く打ちたい」という理由から、ミドルバランスを使い続けました。
その結果チーム内でも最もHRを打っていたのが僕です。タイミングとミートさえできればボールは飛んでいきます。
「120m飛ばさなくても、90m飛ばせればよい」。これは僕のHR理論です。
経験に基づいた確実なお話です。どう考えるかは、結局個人の判断ですがぜひ参考にしてください。
バランスを考えたバット選び!中学生にはミドルバランスをおすすめ:まとめ
バットはバランスがどこにあるかで、大きく性能が変わります。
- トップバランス=長距離向き
- ミドルバランス=中距離向き
- カウンターバランス=短距離、ミート思考向き
中学生でバット選びに困ったら、ミドルバランスが強くおすすめ。
ミドルバランスでも「トップバランスより飛ばない」というデメリットを、芯での捉えやすさとメーカーの技術力がカバーしてくれます。
全員に当てはまるわけではないですが、一球たろうのこれまでの経験からは、「ミドルバランスのバットの方が結果につながっている」との結論です。