練習の締めに多く行われるベースランニング。
キツイ練習なだけに選手も手を抜きがちですが、手を抜くと走力・走塁技術ともに身に付きません。
必要なことは、何を身に着けるためのベースランニングなのかを見極めること。
ここでは、効率よく鍛えるための一球たろうなりのベースランニングの方法を紹介しています。
野球指導歴10年以上の一球たろうがご紹介します。
ベースランニングを効率的に行うために
陸上100m走が世界一速くても、ベースを一周するスピードが世界一速いとは限りません。
ベースを速く一周するためには、ベースを回る技術が必要です。
だから野球の練習では、直線を走るダッシュとは別に、ベースランニングが行われます。
しかし、これがまたキツイ練習なんですよね。
何本も走らせたいところですが、一球たろうの経験上、ただ本数を走らせるだけでは何も身に付きません。
足を速くしようとしてもある程度手を抜くし、キツさゆえにベースを蹴るやオーバーランなどが適当になりがちです。
キツイ練習は「短く・効率的に」をテーマに練習させましょう。
そのために必要なのは、今から行うベースランニングが「走力」を鍛えるものなのか、「走塁技術」を鍛えるものなのかを判断することです。
走力を鍛える練習は「物足りない」を感じさせる
ここでは、走力を「速く走る力」とします。
「今日のベーランでは、走力を鍛えよう」と思った一球たろうは、このような練習をしていました。
※対象は初心者がほとんどの中学生です。
- 本塁→一塁×5本
- 一塁リード→第二リード→二塁×3本
- 二塁リード→第二リード→本塁×3本
- 三塁リード→第二リード(またはタッチアップ)→本塁×3本
- ホームラン×2本
一つのパターンあたり3本。少ないですねえ。
しかし、必ず走塁前に、目標タイム(今までのタイムを基準に)を定め、一人ひとりタイムを計ります。
タイムが縮んだ人は、何を意識するとタイムが縮んだのか考え、他の選手に伝えさせます。
本数が少ない分、選手は少ないチャンスで色々考えて試すようになりました。
あえて「物足りない」と感じさせるわけですね。
しかし一本あたりの練習は充実し、時短・効率化を図ることができました。
走塁技術を鍛える練習
ベースのどこを蹴る、二塁打にするため一塁手前でふくらむなど、野球の走塁技術にはさまざまあります。
例えば、スライディングを練習する場合、一塁のリードから始めていないでしょうか。
こうすると、走力を上げる練習に近くなり、一本走るのに選手が疲れます。
一球たろうは、ベースの5~6m手前から走らせスライディングをさせていました。
こうすることで、同じ10分間の練習でも一人あたりのスライディングをする回数が増えます。
スピードを落とさないようにベースを回る練習でも、本塁から一二塁間の中間地点で十分な距離です。
一二塁間の中間地点まで走れば、すぐに本塁に戻させます。
走塁技術を鍛えるための練習は、習得させたい技術を何度も練習できるよう、前後をなるべく省きました。
体力的についていけない初心者たちにとっては、技術練習が体力的にしんどい練習になってはいけません。
一つの走塁技術を習得させるため、細かくベースランニングを区切りましょう。
走塁技術を細かく区切ると?
具体的に走塁技術を細かく区切ると、以下のようなものが考えられます。
打撃直後のスタート
塁間は27.431mしかなく、野球ではこの距離をできるだけ速く走る必要があります。
そのためにもいかにスタートからトップスピードに素早くもっていけるかが重要です。
- 足の接地場所を、重心の前ではなく真下に
- 空中で足を入れ替えるイメージ
- 極力前傾姿勢で
これをイメージしてスタートの練習をしてみましょう。
また、走る距離は塁間の半分くらいが妥当です。
駆け抜け時の踏み足
一塁に駆け抜けするときは、できるだけ左足でベースの右手前を踏みます。
もちろん歩幅が合わない場合もあるので、必ずしも左足である必要はありません。
この練習の場合、歩幅とその感覚の問題もあるので本塁から走らせた方が良いでしょう。
ふくらみ方
オーバーランに入るため、とくに一塁に入る場合は、真っすぐの走路から少しふくらむ必要があります。
そのふくらむ走路は、なるべく小さく・円を描くように、を意識しましょう。
その理想の走路を地面に描いて、本塁から一塁を回り、一二塁間の半分くらいまで走らせます。
それ以上は不要です。
初心者は、一塁から回るとき異常なほど大きくふくらんでしまう、または、ベースを蹴った後に急速にスピードに落ちてしまうのどちらかになります。
ホームランを走らせれば三回練習できるとは考えず、本塁から一二塁間までの一回を丁寧に何度もやりましょう。
ベースを蹴る位置
ベースを蹴ってオーバーランに入るとき、蹴る位置はベース内側の角がベストです。
この練習をするとき、本塁から一塁までを、上記ふくらみ方の走路をとって走らせましょう。
ベースを踏む足は、駆け抜け同様に左足です。
こちらの方が遠心力に負けず、理想的な走路を描けるためです。
帰塁と再リード
ベースランニングの練習で、意外と帰塁を入れていないチームもあるのではないでしょうか。
帰塁が上手くできると、大きなリードができるようになります。
また、帰塁から再リードするまでの時間が短くなければ、テンポの良いピッチャーの場合慌てる原因になります。
帰塁は、一塁・二塁・三塁別々で野手の動きを意識する必要もあるので、各ベースで3本行いましょう。
スライディング
二塁への盗塁、本塁でのクロスプレーなど、状況によってスライディングのやり方は変わります。
少なからず、ベースランニングの中では
- 二塁盗塁(立ち上がりとその後のプレーへの備え含む)
- 帰塁(一塁と二塁)
- 本塁突入(通常のスライディングとヘッドスライディング)
少し物足りない場合は、フックスライディングを練習してみても良いでしょう。
ベースランニングは走力・走塁技術どちらを鍛えるか見極めよう
ベースランニングでは、走力を鍛えるのか、それとも走塁技術を鍛えるのか見極めましょう。
たくさん走らせる中では、とくに体力のない初心者には、走力・走塁技術ともに身に付きにくいです。
とくに走塁技術は、あくまで技術練習なので体力的に余裕がある状態で行いましょう。
また、パターンを細かく区切り、何を習得させようとしているのか丁寧に説明することも必要です。
本数を少なくし、タイムを意識した効率的な走塁練習は、時間いっぱいのため今までできなかった「もう一つの練習」ができるようになります。
効率的にベースランニングを行って、ここぞで一つ先の塁へ進める選手に育てましょう。