この記事では2020年パ・リーグ盗塁王周東選手に学ぶ、盗塁術と走塁術を動画付きで紹介しています。
2020年の盗塁王に周東選手が輝きました。その盗塁術と走塁術は、ジュニアの野球少年も見習うべき点がたくさんあると思います。
今回はどんなところに注目すべきか、足の速さだけでない盗塁・走塁術を解説します。

野球指導歴10年の一球たろうがご紹介します!
盗塁王周東佑京に学べ!動画だからこそわかる盗塁術と走塁術

やっぱり足が速い選手って魅力的だよな~

監督。それはパ・リーグ盗塁王の周東佑京選手のことを言っているんですか?

何せ育成ドラフトからの生え抜きから盗塁王に輝いた選手だからな。お前らも見習うべき点が大いにあるぞ。

とは言ってもさすがに50m走5秒7は俺たちには無理ですよ。

もちろん盗塁王として足の速さは尋常でないものがあるが、それ以外にもお前たちが見習うべき盗塁術や走塁術が満載だぞ!今回はそれをみてみよう!
パ・リーグ盗塁王周東佑京選手は、2020年規定打席に届いていないながらも盗塁王となりました。その盗塁数はなんと50個。
コロナ下で試合数が少ない中での盗塁数と考えると、尋常でないことがわかります。その盗塁数を支えるのが50m5秒7、塁間3.5秒の足です。
しかしジュニアの野球選手でそこまで走れる選手は稀でしょう。しかし、この周東佑京選手はもっと多くの盗塁術や走塁術が隠されています。まずは動画を見てみましょう。
こちらは今季50個目の盗塁を決めたときの映像です。確かにスタートは遅れていて、キャッチャーの送球がそれたからセーフになりますが、まずはこの動画から学ぶ点を見てみましょう。
周東佑京の盗塁・走塁術①:リード時の重心
周東佑京選手が盗塁をする前の、リードの重心がどこにあるか確認しましょう。(動画0:06から)
よくジュニアの選手で見るのが、重心を「下げ過ぎている」選手です。確かに足にぐっと力が入り、スタートを切りやすく盗塁しやすい形です。
しかし、重心の下げ過ぎは無駄な筋肉の緊張を生んでしまいます。その結果、スタートが遅れて盗塁失敗につながるのです。
周東佑京選手に学ぶべきは、まずそのリード時の重心。「上げ過ぎず下げ過ぎず」のポジションを取ることが、盗塁だけでなく、ヒット時の次の塁を狙う走塁にもつながります。
周東佑京の盗塁・走塁術②:左手
周東佑京がリードを取って、盗塁をする直前の左手にご注目。左手だけだらんと下げていることが分かります。
他の動画では、左手を膝につけていることもありますが、比較的この「左手だらん」が多いです。これは、盗塁時に左手を振りやすくするため。
ジュニアの選手の走塁・リード時に見る左手は以下のどちらかでしょう。
- 左手を膝に乗せしっかり体重をかけてしまっている(怒られるリード)
- (怒られるから)両手を膝から離してだらんとしたリード
最初の方は論外のリード方法です。二つ目もやっている選手はいますが、一球たろう自身は右手は軽く膝に置き、左手はだらんとした方が良いと思っています。
リードで大切なことはとにかく力を抜いた姿勢づくりです。その上で、両手を膝から離すと、どうしても足の筋肉が硬直していしまいます。
筋肉の硬直は、スタートの遅れにつながり、盗塁・走塁時の一瞬の判断を遅らせてしまいます。上の動画の周東佑京選手のように、「右手(あるいは右肘)は軽く膝、左手はだらん」が良い姿勢だと思います。
周東佑京の盗塁・走塁術③:スタートの足
周東佑京選手が盗塁時にスタートを切った瞬間、右足から踏んでいることが分かります。
しかもその右足は、前に進めるというよりは「その場で踏む」感じの一歩目ですね。これは、周東佑京選手が「腰を切る」ために行っている動作だと考えられます。
なぜ腰を切るのかというと、ベースに対して正対するための姿勢づくりです。正対した方が当然、スピードがのりやすく、盗塁の成功につながりやすくなります。
バッターがヒットを打って、次の塁を狙う走塁をする上でも加速しやすい姿勢づくりが必要で、腰を切る一歩がどれだけ早いかで、後のスピードののりが変わるのです。
「スタートの一歩目は右足」。これが周東佑京選手が行っている、盗塁動作の一発目なのです。ついでに手は左手から振っているのが分かります。
つまり腕の回転力も利用して、腰を切っているのです。左手の重要性が分かると思います。

周東佑京の盗塁・走塁術③:スライディングのその後
周東佑京選手がスライディングをして、盗塁を決めた後、どんな動作をしているか分かりますか?すぐに送球の行方を確認していますよね?
ジュニアの野球選手で「こいつ走塁上手いな」と思う選手は、必ず盗塁時にすぐボールがどこにあるのか確認します。これは間違いありません。
送球がそれた→次のプレーが起こりうる→隙があれば次の塁へ
こういった気持ちが全面に現れていないと、スライディング後に送球を確認する動作にはつながりません。これは盗塁というより、どちらかというと「走塁」に関わる部分。
でももし、一球でランナーが2つも進塁できるとなると、得点に大きく近づくことは目に見えて分かりますよね。
(盗塁をする前準備には、まだまだやるべきことがたくさんあります)

周東佑京選手の盗塁・走塁動画からはまだまだ学べる
周東佑京選手が盗塁・走塁する動画を見比べてみると、他にも盗塁術や走塁術につながる面がたくさん見えてきます。
周東佑京選手に学ぶべき盗塁術:スライディング偏
数々の周東佑京選手の動画を見てみたときに、スライディングで「滑り込む位置」にも注目してほしいです。
ほとんどの動画の周東佑京選手の盗塁は、ベースに向かって右端にスライディングしていることが分かります。これは、右投げ(グローブを左手)がほとんどの内野手にとって、ベースの左端が一番タッチが遠くなる位置だからです。
しかし、動画の中で一つだけ(3つ目の動画の0:40あたり)、ベースの真ん中にスライディングしているシーンがあります。これは、内野手が「両足でベースをまたいで」捕球体勢に入っているから。
当然そうなると、盗塁時ベースの右端にスライディングすると、足がぶつかり怪我につながります。
では、怪我せず、タッチが最も遠くなるのはどこかというと、ベースの真ん中ということですね。つまり盗塁でベースを見ていながらも、キャッチャーの送球を野手がどういう体勢で捕球しているか、視界のなかで確認しているということ。
これが、盗塁時のスライディングの位置を考える上で、大切なことです。
周東佑京選手に学ぶべき盗塁・走塁術:失敗しちゃった編
2つ目の動画【シーズン100盗塁】”令和の快速伝説”の動画の5:46の周東佑京選手の盗塁もぜひ見習ってほしい。
失敗しています。何を失敗しているかというと、牽制に引っかかっているのです。いや、これはむしろ引っかかっても強硬手段に出たというべきです。
左投手は確かに盗塁しにくいです。しかし、右投手に比べてクイックの牽制をそこまで速く入れることができません。
左投手の牽制は、大抵右足を上げてからの牽制です。もしも、盗塁をすると肚に決めたとき「ギャンブルスタート」というものもあります。
つまり左投手の右足が「動いた瞬間」です。それで牽制がこようが、打者に投げようかお構いなし。「俺はこいつが動いた瞬間に盗塁してやる!」という気持ちで、盗塁します。
牽制に引っかかったと思っても、後ろを振り返らず二塁に向かって走ってください。意外と、これが盗塁成功します。
周東佑京選手に学ぶべき盗塁・走塁術:カウント編
周東佑京選手の盗塁を見ていると、盗塁したカウントが比較的早め(打者が追い込まれていない)と思います。
ほとんど、カウント0-0や1-0といったカウントです。確かに2ストライクは、盗塁しやすいタイミングですが、これは打者に気を遣わせる盗塁になります。
一方早いカウントで盗塁すると、その後の作戦や打者の気持ちも大きく変わります。単打でも一点入るし、送りバントなど、指揮する側にとっても作戦の選びようがあるからです。
一方2ストライクと追い込まれると、基本的にバッター頼みのヒット狙いですよね。バッターも追い込まれているだけに、くさい球にも手を出さざるを得なくなります。
そういったところから、周東佑京選手は早いカウントで盗塁を仕掛けています。

うわ~こんなに周東佑京選手の盗塁や走塁は、動画で公開されているのに、全然気づけていませんでした。

盗塁や走塁もただ「足が速い」だけでないことがよく分かるだろ?もちろん足が速いに越したことはないからな。はい、じゃあ今から坂ダッシュ50本な。

鬼だ…鬼がいる…
【盗塁王】周東佑京に学ぶ盗塁術と走塁術!足の速さだけでない盗塁
盗塁王周東佑京選手には、盗塁・走塁術において学ぶべき点が多くあります。
- リードの重心
- 左手の位置
- 一歩目
- スライディング後
- スライディングの位置
- 牽制引っかかっても
- カウント
たった三つの周東佑京選手の盗塁・走塁動画を見ただけで、これだけの要素がつまっていることが分かります。やはり、足のスペシャリストの動きはマネすべきですね。