この記事では少しでもベーランや塁間のタイムを縮めるためのコツが紹介されています。
足が速ければベーランのタイムが縮まるわけではありません。そこには走塁のコツが必要です。
コツは足の早さとは全く関係ないので、技術力でベーランのタイムを縮めましょう。
「全国レベル」のベーランのタイムはレベルが高すぎて参考になりませんよね?

そもそもベーランのタイムってどこからが「早い」になるんですか?

とりあえずプロ野球を中心に、分かるところは中学生のタイムも見ていこうか。
ベースランニング(以後ベーラン)のタイムは早いに越したことはありません。足が速いというだけで十分な武器です。
そこでベーランのタイムってどのくらいが「早い」のか、基準が気になります。さっそく見ていきましょう。
ベーラン(一周のタイム) | |
足が速いプロ | 13秒前半 |
足が速い中学生(ボーイズ) | 14秒前半~半ば |
ベーラン(塁間のタイム) | |
足が速いプロ | 3秒後半 |
足が速い中学生 | 4秒前半 |
ここまでの数値であれば間違いなく「早い」部類であると言えます。
しかし我々が相手をしているのは、こんなところなぞ遠い遠い向こうのように感じる初心者です。さすがにすぐにここまで早くすることはできません。
おそらく本サイトを見ている方も「さすがにこのタイムは速すぎて参考にならない」と思っているかもしれません。下の表が「地元で優勝し、ちょっと有名になっている」ぐらいのチームのベーランのタイムの変遷です。
ベーラン(一周のタイム) | |
足の速い子ども(中1) | 18秒後半~19秒前半 |
足の遅い子ども(中1) | 20秒後半~26秒 |
ベーラン(一周のタイム) | |
足の速い子ども(中3) | 15秒後半(ギリギリ15秒台) |
足の遅い子ども(中3) | 18秒後半 |
ベーラン(塁間のタイム) | |
足の速い子ども(中1) | 5秒ちょうど |
足の遅い子ども(中1) | 6秒前半 |
ベーラン(塁間のタイム) | |
足の速い子ども(中3) | 4秒半ば |
足の遅い子ども(中3) | 5秒前半 |
チームによっても変わる数字だと思いますが、僕のチームでは大体このようになります。
そこを踏まえて僕のチームでは
- ベーランは16秒前半
- 塁間は4秒台半ば
になれば「早い奴」認定しています。
※あくまで僕のチームでの基準なので、もっとレベルの高いチームは数値が下がると思います。
さて、ベーランのコツを説明する上で知っておいてほしいのが「足の速さとベーラン(特に一周)は比例しない」ということです。
チームには50m走6秒7で走る子どもと6秒9で走る子どもがいました。
この2人のベーランのタイムを計ると、6秒9で走る子どもの方が早いのです。つまり「足の速さとベーラン(特に一周)は比例しない」のです。
では、何が違うのかというとベーランを速く走るコツ(走塁の技術)を持っているということです。どんな技術が必要なのでしょうか。
ベーラン(一周)のタイムを縮めるコツ

よ~し、じゃあ今日はベーランのタイム図るぞ~

う~ん、ドキドキするなぁ。監督、少しでも速く走るコツとかありますか?

一番大事なのは「スピードを落とさない」ように走ることだ!そのコツをマスターしよう!
ベーランをするときに、結局何が大事かというと「スピードを落とさない」ことです。スピードが落ちる原因にはこのようなことがあります。
- ベース手前で歩幅の調節
- 直角にベースを回ってしまう
- 大きく膨らみ過ぎる
この原因を改善する走り方が、ベーラン(一周)のタイムを縮めるコツと言えます。では、さっそく見ていきましょう。
ベーランのタイムを縮めるコツ1:ふくらむ位置が近すぎてない?
初心者でよく見るのが「直角」にベースを回ろうとする子どもです。これではスピードを落とさないとベースを回れません。
まずは真っすぐに走らないことを教えましょう。
しかし、これだけ教えても初心者は「ふくらむ」位置がかなり近いです。ファーストを蹴ったときに、はるか向こう側まで行ってしまいます。
ベーランで大切なことの一つに、「最短距離で走ること」があります。確かに、最短距離で走るには「直角」が一番近いのですが、人間の体には不可能な走り方です。
「ふくらむ」位置がどこからで、「どこまで」ふくらめば良いのか明示しましょう。これができるだけでベーランのタイムはかなり縮まります。
図のようにふくらみだす位置は「スリーフットラインの開始位置」で、ふくらみきる位置を「コーチャーボックスの手前」にしましょう。
そこから一気にファーストベースの内側の角に向かって走ります。
ここが初心者にとって、一番分かりにくいところです。「ふくらんで走る」だけでは理解できません。なのできちんとした基準を定めてあげると、イメージしやすくなります。
こちらはイチロー選手の二塁打です。非常に参考になります。
ついでに三塁打の場合、一塁を回った後の走塁ラインをわざわざ一塁と二塁のオンライン上に戻さないようにしてください。(以前そのような子どもがいたので)
一塁を蹴った勢いで外にふくらみ、二塁ベースの内側の角を目指して走りましょう。三塁を回るときは、それまでとちょっと違うところがあるので、後述しているところを見てください。
ベーランのタイムを縮めるコツ2:なるべく小さな円を描く
ベーランの一番難しいところは以下の2点です。
- スピードを落とさないようにすれば走る距離が長くなり
- 走る距離を短くしようとすればスピードが落ちる
先ほどの「ふくらむ」技術はスピードを落とさないためのコツです。
次の「小さな円」は走る距離を短くするためのコツだと思ってください。
あくまで理想ですし、さらに無駄のないラインはありますが、初心者がベーランをするときはこの「小さい円」を意識するようにしましょう。
また円がすべてベースの内側の角を通っていることにも注目してください。「円がイメージできない」という初心者は、最低限ベースの内側の角と角をスムーズにつなげる意識を持ちましょう。
こうすることでベーランのタイムがぐっと縮まるはずです。
ベーランのタイムを縮めるコツ3:ベースを見つめて走る
打った瞬間からは見つめないようにしてください。もちろん打球の位置も確認しなければなりません。
先ほどの「ふくらみ」が極限に達したコーチャーボックスのあたりから、ベースを見るようにしてください。
すると、自然と歩調がベースに合います。
よくある失敗で、ベースに歩幅が合わずスピードが落ちてしまい、タイムも落ちるという現象が見られます。それを防ぐためにも、「ベースを見つめて」走るを実践しましょう。
注意:ベースを「見て」ではありません。ベースを「見つめて」です。ニュアンスがちょっと違いますよね?
ベーランのタイムを縮めるコツ4:三塁を回るときは「ぐっ」と腰をきって回る
どんな長打でも三塁より向こうはホーム、つまりゴール地点になります。ゴール地点に向かっては「なるべく最短距離」であることが望ましいですよね。
ベーランのタイムを縮めるために、最後の最後のベースを踏んだ時に右腰を「ぐっ」と前方に入れるか、左腰を引くか(やりやすい方でいいです)して、なるべく最後は直線的なラインを取りましょう。
先ほど説明した、「足の速い子と遅い子では、足の速い子の方がベーランが遅い」では、ここの違いが大きかったように思えます。
ベーランのタイムを縮めるコツ5:ベースを蹴る足は左足
いろいろな教えがあるので、ここに関してはやりやすい方で構わないです。
しかし、「右足と左足どちらがいいか」となると、僕は迷わず「左足で蹴る」ように指導します。
左足で蹴る方が「腰を切りやすい」からです。先ほどの三塁のところでも「最後にぐっと腰を切る」とありました。腰を切ることで走るラインを「小さな円」に近づけることができます。

ベーランのタイムを縮めるために、こんなに細かいコツがたくさんあるんですね。

「こんな細かいコツ」をすべて組み合わせて「走塁」なんだ。だからこそ難しい。

全部大切なんでしょうが、一番大切なことは?と聞かれるとどれですか?

それなら「ふくらむ位置」と「ベースをじっと見る」かな。この二つはそれぞれ「ペースを落とさない」には大切だからな。
ベーラン(塁間)のタイムを縮めるコツ

俺長打はあまり打たないですけど、内野ゴロは多いんですよね。内野安打も立派なヒットですよね?

もちろん!むしろ普通ならアウトの打球をヒットにできるから、バッティングの幅は広がるぞ!

じゃあ次は塁間のタイムの縮め方のコツを教えてください!

よし。それじゃあ次は塁間を速くして内野ゴロを量産しよう!
僕は野球をする上で足の速い選手とは「超短距離が速い選手」と考えています。
陸上競技と違う点は、50mや100mを走る必要はありません。ベーランを一周走って、やっと109mです。だからこそ大事なのは塁間(27.431m)が速い選手であることです。
塁間が速いだけで守備にとってはかなりのプレッシャーがかかります。また、その距離を速く走ることができれば、守備にも必ず活きてくるので「超短距離選手」を目指しましょう。
塁間のタイムを縮めるコツ1:歩幅を小~大へ
ギア付きの自転車をイメージしてください。止まっている状態から動くときにはギアは「1」ですよね。それから2.3…6とギアをだんだん上げていきます。
これは走るときも同じです。最初の2~3mは歩幅を小さくしましょう。そこから歩幅を大きくとります。
チーム内で子どもがいろいろ試してみましたが、この方法が一番速くなります。
塁間のタイムを縮めるコツ2:ベースを踏む位置は右手前を左足で
塁間のタイムを縮めるために、ベースの右手前を左足で踏むようにしましょう。
右手前を踏むのは、単純に一番最短でセーフになれる場所だからです。もちろん歩幅が合わないのに無理する必要はないですが、塁間の場合は打ったその瞬間から、ベースを見つめて走ってください。
そうすることで、歩幅が合わないという事態を避けることができます。
左足で踏むのはファーストと交錯してケガを避けるためです。ファーストベース周辺での接触がアマチュア野球では多いです。ケガをしてしまえば元も子もありません。
右足でベースを踏むと、左足はその分ファーストの足の近くを通ります。下手をすると引っかかることもあるので、左足で踏むクセをつけましょう。
左足でベースを踏むクセがつけば、長打の際にもベースを左足で踏む良いクセが出るので、ベーランのタイムを縮めることにも役立ちます。
塁間のタイムを縮めるコツ3:腰から前傾姿勢で走り、あごを上げない
前傾姿勢を維持することで加速しやすくなります。その姿勢は塁間くらいであれば維持できるようにしましょう。
初心者の場合、前傾姿勢ができていないか、できていてもすぐに体を起こしてしまいがちです。そうすると加速されなくなるので、結果的に塁間のタイムは縮みません。
また、あごを上げてしまう初心者も多く見かけます。
あごが上がると、絶対にそれ以上加速できません。前へ向かう推進力も逃げてしまうので、あごは上げないようにしてください。
この走り方は守備においても参考にするべきスタートの方法なので、こちらの記事もご参照ください。


何だか、塁間だとベースを回るのにくらべて「とにかく速さを」って感じですね。

直線勝負だからな。俺はまず「腰ごと前傾姿勢」になることを練習させる。ときどき「腰から」前傾姿勢で変な走りのやつがいるからな。

その感覚はどう身に付ければいいですか?

誰かを体の前で支えるサポーターにして、気を付けの状態からその人に倒れ込むと「前傾」のイメージがつかみやすいぞ!

こわっ!危なくないですか?

支える側はしっかり支えることと、倒れる側は信頼できる相手を選んで、へっぴり腰にならないよう注意だ。
足が速くてもベーランのタイムは縮まらない?上手な走塁のコツ:まとめ
ベーランのタイム(一周)はプロ野球の足が速い選手で一周13秒前半、中学生で14秒前半~半ばで走ります。一球たろうが指導したチーム(地元優勝クラス)では最速15秒後半(ギリギリ)です。
ベーランのタイムを縮めるコツは、「ふくらむ位置に気を付ける」「小さな円を描くように、ベースの内側の角を踏む」「ベースを見つめて」「三塁でぐっと腰をきる」ように走ることです。
ベーランのタイム(塁間)を縮めるコツは「歩幅を小~大に変化させる」「ベースの右手前を踏む」ように走ることです。