この記事では殺人スライディングを動画付きで解説し、野球人としてやってはいけない殺人スライディングについて触れています。
アウトになりたくない気持ちは分かりますが、殺人スライディングは非常に危険です。
ただし、故意である場合と、故意でない場合があります。過去の事件も見ながら、その危険性を検証しましょう。

故意であるなら許されないし、故意でなくても相手が傷つきます。結果的に殺人スライディングにならないよう、注意すべき点を紹介します。
殺人スライディングとは一体何なのか…?動画をどうぞ!
殺人スライディングの一例です。
ベースカバーに入った守備側の選手に対して、プレーを妨害するためにスパイクの歯を向けてスライディングすることが、殺人スライディングです。
動画内で井端選手が足を痛めています。殺人スライディングは、守備の妨害をするだけでなく、「殺人」と名のついている通り相手をケガさせます。
故意であれば、当然相手を怪我させることも分かったうえでスライディングに及んでいるので、かなり悪質な行為と言えるでしょう。
では、その殺人スライディングが起きやすい場面とは、どんな場面でしょうか。もしも、自分がそのプレーに関わるポジションの選手であるならば、気を付けてください…
殺人スライディングが起きやすい場面。動画で検証
殺人スライディングは、守備側の選手の妨害をする意図があるスライディングです。
その場面が発生しやすい状況を、ランキング形式でお伝えします。
殺人スライディングば起きやすい場面第一位!セカンドベース上
動画内にあったように、ノーアウトやワンアウト一塁での内野ゴロの際、守備側は当然ゲッツーを狙います。
そのセカンドベース上で、一塁ランナーがセカンド又はショートに対して、妨害し一塁ランナーはセーフになれるようスライディングを行います。
これが殺人スライディングにつながるのです。妨害するためには、スパイク又は体ごと守備側の選手に突っこまなければなりません。
ベースとしては、一塁の次に近いのが二塁。ゲッツー崩しの場面で、最も殺人スライディングが起きやすいので、ショート・セカンドを守る方はお気を付けください。
殺人スライディングが起きやすい場面第二位!サードベース上
サードベース上も意外と危険なスライディングが行われてしまう場面です。
動画では、三盗の場面で殺人スライディングに近いことが行われていますが、一塁ランナーがライト線のあたりなどで、二塁を回り三塁に突っこむ場面も危険です。
この時一塁ランナーは、ボールがどこにあるか見えません。気付くとサードがボールを捕球しており、余裕でアウトのタイミングでグローブや手首を蹴ってしまうことがあります。
殺人スライディングが起きやすい場面第三位!ホームベース上
ホームベースに突っこむランナーは、一点を取るために最も必死になっていると言えます。
そのため、何が何でもセーフになりたがるあまり、殺人スライディングを行ってしまうのです。
さらに、クロスプレーになればなおさら危険。
キャッチャーがタッチしに行ったから悪いのか、ランナーが突っ込むから悪いのか、この場面であれば殺人スライディングとして「守備妨害(インターフェア)」が取られる確率が低くなります。
それを防ぐためにも、コリジョンルールが導入されましたが、やはりキャッチャーは体ごとタッチに行くこともあるし、ランナーはそれを見て「どけ」という意味で、殺人スライディングになってしまうことも…
ただし、ホームベースの場合は、スライディングというよりもタックルの方が多くなります。これについては、また別記事で動画と同時に触れていきます。(下の記事がその記事です)

殺人スライディングの被害(過去の実例より)
殺人スライディングは、本当に危険な行為です。これまで一球たろうが見てきた中で、以下のような事案が発生しました。
- 同じ選手が一球たろうのチームのショートに二度殺人スライディングを行い、二度目でショート負傷
- ホームに突入の際スパイクを上に向けランナーが突入、キャッチャー大腿部出血、病院送り
- ゲッツー崩しで足を狙ったスライディングをし、セカンド捻挫
- 盗塁時サードの腕を狙ったスライディングにより、サードの腕出血、2週間腫れ続ける
おそらく、みなさんの身の回りでも同様の事件は起きていると思います。
絶対に故意的な殺人スライディングを許してはなりません。審判も毅然として対応してほしものです。
動画や実例から考えられる殺人スライディングの特徴
通常のスライディングと殺人スライディング。同じスライディングのように見えますが、この二つには3つの相違点があります。
その点がはっきり分かり、なおかつ守備側に不利に働いたのであれば、殺人スライディングとして「インターフェア」を宣言すべきです。
殺人スライディングの特徴1:スパイクの向き
スパイクの向きを見れば、スライディングか殺人スライディングかは一目瞭然です。
スパイクの向き | |
通常のスライディング | 横向き且つ裏が斜めに地面を向いている |
殺人スライディング | 上向き且つかかとから出る |
通常のスライディングであれば、スパイクの向きが上を向くことはありません。
上を向いているということは、グローブやその上にある守備選手の体にぶつけようという意思があるからです。
殺人スライディングの特徴2:スライディング開始時期
殺人スライディングの場合、通常のスライディングと比べるとスライディング開始時期が「遅く」なります。
ベースに近いとも言うべきでしょうか。
なぜなら、そうしないと強く守備選手に当たることができないからです。通常のスライディングでは、その勢いで立つことができればいいので、ベース周辺で失速します。
しかし殺人スライディングは、強く当たって妨害をすることが目的なので、絶対に守備選手との距離は近いです。
スライディング開始時期がえらく遅く感じた場合、殺人スライディングをしようとしていた意図がある可能性が強いです。
殺人スライディングの特徴3:小ジャンプ&ジャンプ中膝が曲がる
この特徴3の場合、殺人スライディングの中でも超悪質なパターンだと思ってください。
勢いをさらに強くするため、小ジャンプをしジャンプ中に膝を曲げて、着地と同時に蹴り出します。
このスライディングで衝突されると、ほぼ100%守備選手は怪我をすると思ってください。
かなり危険であり、故意性が大いにあります。審判は、厳重に注意または退場を勧告すべきです。
小・中学校の試合の場合、全国軟式野球連盟の審判以外の保護者や監督・コーチが審判することがあると思います。
そのため、インターフェアのコールに躊躇すると思いますが、ここまでくれば絶対にコールすべき案件です。
故意でない殺人スライディングを起こすのが…
基本的にある程度野球をやっていて、スライディングを通常通りできるのであれば、その選手が起こす「相手を怪我させるスライディング」はほぼ故意だと思われます。
しかし、故意ではなく殺人スライディングをする人が…
- スライディングにビビってジャンプする
- スパイクを上に向ける
- スライディング開始時期が遅い
初心者のスライディングって、こんな特徴ではないですか?
というか、少なからず僕が見てきたスライディングが苦手な初心者は、この特徴を兼ね備えていました。

しかし初心者と言っても、相手を怪我させることは許されません。もしかすると、練習中に味方を怪我させてしまうこともあります。
走塁練習をする前に、初心者にはきちんとしたスライディングを教えましょう。

痛々しい動画ばかりでしたね…

これでも野球界の意識改善が進んで、少なくなっている方だが、動画として残っているのは氷山の一角だからな。絶対にあってはならないプレーだ。

初心者のころ、俺も相手のショートに睨まれたことがあります…

そうだろ?だから、走塁練習をする際は、初心者にはなるべく早いうちにスライディングの正しい方法を教えるべきなんだ!
絶対やってはいけない殺人スライディング!動画つきで危険を検証:まとめ
殺人スライディングは本当に危険な行為です。故意的にすれば、当然批判の対象になります。
殺人スライディングが起きやすいのは、とくにゲッツー崩しの場面が多いです。ショート・セカンドの選手は気を付けましょう。
動画を見る限り、殺人スライディングには「スパイクを上に向ける」「スライディング開始時期が遅い」「小ジャンプ&膝を曲げる」という特徴があります。
これらの特徴を兼ね備えているのが、スライディングを上手くできない初心者。故意でない殺人スライディングをする恐れがあります。早急に改善しましょう。