この記事では、ピッチャーなのに球速がなかなか上がらない、球速が遅いと悩むあなたにピッタリの投球術が紹介されています。
ピッチャーをやっていて球速が速い。それはとても良いことです。
では逆に、球速が遅いのは悪い事なのか?とんでもない。球速が遅いなら、遅さを極めれば良いのです。

野球指導歴10年の一球たろうがご紹介します!
球速が遅いピッチャーでも打者は打ち取れる!?

監督…俺、一生懸命球速を上げようと努力してるのに、なかなか思うように球速が上がってくれません…このままだとピッチャー失格ですか?

俺は全くそのようには思わないがな!球速が遅くたって、ピッチャーとしては十分やっていけるぞ!

どうすればいいんですか?コントロールですか?

コントロールも大事だが、球が速くないなら、遅さを極めればいいんだ!

「遅さを極める」ですか?
球速はある程度のレベルまでは努力で何とかなっても、そこから先は地肩の強さや元々持っている指先の感覚など、限界はあるものです。
努力して160kmまで球速を上げられるのであれば、誰でもメジャーリーガーですよね。
当然球速が速いことが悪いわけではありません。では一方で、球速が遅いピッチャーは、ピッチャーとしてやっていけないのでしょうか?
答えは「ノー」です。球速が遅いならばば、遅さを極めましょう。必ず良いピッチャーになれます。
球速が遅いのに、バッターを討ち取るプロのピッチャー
まずは球速が遅い(比較的速くない)のに、プロのピッチャーとして成功している選手を紹介します。
かなり有名どころではありますが、元巨人の杉内俊哉選手です。
動画を見ても分かるように、速球の球速は140km/h弱。全力でないボールでは130km/h台しかありません。プロのピッチャーの中では、むしろ球速が遅い方でしょう。
なのに、通算142勝も挙げており、バッターも三振しまくっていました。つまり剛速球だけが、三振を取る要素ではないことを証明してみせたのです。
杉内選手には、柔らかい投球フォームや大きなカーブなどの要素があり、ここまでも大投手になりました。
逆に言えば、球速が遅くても大投手になれるのです。では、球速が遅いピッチャーでも通用する理由を見てみましょう。
球速が遅いピッチャーでも「大丈夫」な3つの理由
先に結果から言うと、球速が遅いピッチャーでも、バッターを打ち取る技術は十分高められます。
それはこのような理由からです。
- 人間は速い球の方が慣れる、反対に球速が遅くて崩れてしまうとまともにスイングできない
- 急速が遅いと反発力がないため打球が飛びにくい
- 丁寧に投げようとすることでコントロールをつけやすい
人間の体は不思議と速い球には慣れてしまいます。だから、プロ野球選手でもないのにバッティングセンターで160km/hもの速球を打つ人がいるのです。
また球速が遅い球は、速い球に比べるとバットに当たった瞬間の反発力が弱いです。そのため、中学生レベルだとスローボールをスタンドまで運べる選手はそうそういるものではありません。
そして全力で投げようとするのと、7~8割で速くするのではなく「丁寧に」投げようとすること、どちらの方がコントロールをつけやすいかは当然分かりますよね。
これらの理由から、球速が遅いピッチャーでも、十分バッターは打ち取るピッチャーになることができるのです。
球速を「遅く」はどんなピッチャーでもできる
タイトル通り、球速を「遅く」はどんなピッチャーでもできることですよね。
でもこれまでの経験から振り返って、球速を「遅く」を極めようとしたピッチャーはいましたか?
いたとしても、その数はかなり少ない方ですよね。そういえば以前プロのピッチャーにも超スローボールを投げる多田野投手がいましたね。
この超スローボールすごくないですか?審判は「ボール」の判定ですけど、これは本来ならストライクゾーンに入っていると思われます。
この手のボールを「ストライク」とコールできる審判は、なかなかいないものです。
でも、この球速が遅いスローボール。やろうと思えばどのピッチャーでもできますよね?ここまで遅くなくても、遅さを極めることができます。
だからこそ、スローボールを投げた後のストレートが「速く見える」のです。
要するにピッチャーにとって大事なものの一つは「緩急」ということですね。
球速の「遅い・速い」である「緩急」を使いこなせ!ピッチングを3Dでとらえよ
一球たろうは、ピッチングを3Dと考えています。どういうことなのかというと、スライダーやカーブ、フォークやシュートなどの変化球は、それぞれの方向で紙に書けますよね。だから2D。
そこに大げさに言うと、球速が速い150km/hのストレートと遅い100km/hのストレートだと、紙では表せない奥行きが出ますよね。だからこれが3Dです。
この球速の「遅い・速い」緩急こそ、ピッチングの一つの武器になり得ます。緩急とは文字通り、球速の差のことです。
例に示したのは大げさですが、中学生レベルでも100km/hの球速のあとに120km/hのストレートが来ると「速い」と感じますよね。この20km/h分が速さを感じさせる秘訣です。
そうです。20km/hの差があれば十分速く感じさせることはできるのです。
マックスのストレートが100km/hでも、その直前に80km/hの遅い球を見せておけば100km/hが速く感じるのです。
要するにどれだけ、バッターのタイミングを狂わせられるかが、ピッチングの秘訣の一つなのですね。
球速が遅くても打ち取れることを証明した少年野球のピッチャー
一球たろうが以前指導していたチームで、その地域でもトップ3に入れるくらい球の速いピッチャーがいました。
しかし、どうしても同じ地域のあるチームにだけは勝てませんでした。1試合で2~3点は取られてしまい、完封されてしまうのです。
ある日の練習試合で、エースを他の試合で投げさせており、2番手投手が不在だったため、ライバルチームに「将来有望の投手なので」ということで、つい最近少年野球から上がって来たばかりの球速が遅い投手を投げさせました。
結果…7回を無失点に抑えました。
以降一球たろうは、打線がものすごいチームには基本的に「遅い」ピッチャーを使っています。
簡単に言うと「はまった」状態を作り出すわけです。ゴリラかおっさんしかいない中学生チームの打線に、力勝負で挑んでも大抵負けます。
むしろ、球が遅いピッチャーでいくと、気持ちいいくらいにフライの嵐を巻き起こしてくれるもの。
やはり球が遅くても、コントロールさえよければピッチャーとしてやっていけるのです。

あの時は、自分自身ものすごく勉強になったな~~

すごいですね。ライバルチームがそこまで強いチームじゃなかったんじゃないですか?

練習試合をしたのが春だったんだが、そのライバルチームは前年の秋の新人戦で県大会まで行っているようなチームだったんだ。

そりゃ強いですね。そんなチームを少年野球上がりのピッチャーが0点に抑えたんですか?

そうだ。あれこそ「はまった」状況だったんだろうな。以降、注意して見ていたら、時折実力差があるチーム同士の試合ではめに行っているチームなんかも、意識して見えるようになったものだ。

やっぱり、球の速さだけではないんですね~~
いや!それでも球速を上げたい!!という方は、こちらの記事が参考になります!


球速が遅いなら、遅さを極めろ!球が速いだけがピッチャーじゃない:まとめ
球速が遅くても、ピッチャーとしてやっていくなら「球速を遅く」すれば良いです。
球速を遅くすると「打球が飛びにくくなる」「速い球の方が人間は慣れる」「丁寧なピッチングができる」ことがメリットです。
また、球速が遅い方が実力差のあるチームに対して非常に有効な場合があります。絶対的に力で劣る相手には、むしろ球が遅いピッチャーの方が相性が良かったりするものです。
県大会に出場するようなチームに、少年野球上がりの球が「めちゃくちゃ遅い」ピッチャーが完封した経験があります。