この記事では初心者ピッチャーが球速を上げるために必要な、下半身の使い方やトレーニング方法が紹介されています。
球速を上げようとすると、とくに初心者は上半身ばかりに力を入れがちです。しかし本当に必要なのは下半身の使い方。
「ピッチャーは走り込みが大事」と言われるその理由とは──。下半身の使い方やトレーニングを初心者に取り組みやすい方法で紹介します。
球速を上げるためには下半身?その重要性や役割とは
野手は今からバッティングな~。ピッチャーは下半身メニューをやってからバッティング参加!
はい!(でも何でいつもピッチャーばかりしんどい練習が…)
それはだな…
うわ!監督人の心を勝手に読まないでください!
お前の顔が「なんでピッチャーは」ってなっているんだよ!まあしんどい練習であるほど、理由を説明するのは大事だな。よく聞いておけ!
ピッチャーの下半身強化は、野手以上に大切です。球速を上げるのにも必須の項目ですが、子どもはきつい練習を嫌がります。
きちんと理屈を説明した上で「球速が上がる未来」を想像させましょう。下半身の使い方の習得、トレーニングをするメリットはこのようになります。
- 球速が上がる
- コントロールが安定する
- 上半身ばかり使うと逆にコントロールは乱れる
- 体で筋力がある部分を使わないのはもったいない
- 他多数
下半身をトレーニングする重要性は、もはや説明する必要もないかと思います。球速が上がるのはもちろん、コントロールの安定にも必須の下半身。
この記事では「球速を上げるため」に特化して、下半身の使い方やトレーニング方法を見ていきましょう。
とはいっても、結果的にコントロールの安定やその他の能力の向上にもつながります。
球速を上げるための下半身の使い方
筋力をつけてばかりで、体の効率的な使い方を知らなければ球速は上がりません。
おそらくピッチャーという時点で、かなりきつい練習内容を指示されているはずです。その鍛えられた筋肉を100%効率的に使うための「下半身の使い方」を知りましょう。
初心者の場合、うまく下半身を使いこなすのに時間がかかることもあります。早めにクセづけられるよう知識を先に叩き込むことが必要です。
- ユニフォームにしわを作って「割れ」を意識する
- 軸足のひざの位置を内側に
- 骨盤をL字を描くように移動させる
- 一歩前の椅子に座ろう
では一つ一つ見ていきましょう。
ユニフォームにしわを作って「割れ」を意識する
よくバッティングでも「割れ」を作れと言われますよね。でもぶっちゃけ「割れ」って何なん?ってなりませんか。
何をどうしたら「割れ」た状態なのか。ケツは割れてはいますが、下半身の「割れ」って何?
これを理解することは、下半身の使い方の第一歩です。
ざっくり説明すると、下半身の「割れ」は瞬間的な爆発を最大限まで引き出すための準備状態です。
また、球速を上げるために欠かせません。
下半身の場合、軸足側の股関節に沿って、ユニフォームにシワができれば「割れ」ている状態です。
これを作ることで、瞬間的な爆発力が増し、球速アップにつながります。シャドウピッチングをしたり、保護者の方が見たりして常にチェックしましょう。
下半身の軸足のひざの位置が球速アップにつながる
球速を上げるために、割れと同時に意識したいのが、軸足のひざの位置です。
軸足に体重が乗っているときに、ひざを少し「内側」に入れます。
写真のように、一直線上ではなく少し「く」を書く位置に軸足のひざを置きます。こうすることで、前に進もうとする推進力が働き、球速が上がるのです。
「筋力がついていないからできない」こともあるので、下半身のトレーニングと並行して指導することをおすすめします。筋力がつくと、その筋肉の使い方がわかるようになります。
また掴みにくい感覚なので(特に初心者は)、長い目で見てあげてください。
骨盤をL字を描くように移動させる
割れとひざができたら、次は力のロスなく下半身の体重移動をさせましょう。体重移動をスムーズに無駄なく行うことで、球速を上げることにつながります。
スムーズで無駄のない体重移動のコツは、骨盤をL字を描くように移動させることです。
写真はダルビッシュ有選手のフォームのコマ送りです。同じ位置に三角形の縦の線を置いています。
- 足を上げる
- まっすぐ骨盤を落とす
- 真横方向に骨盤が移動
になっていることが分かりますね。これが「骨盤をL字に移動させる」です。これができると、軸足のバネの力を最大限前方向に利用することができ、球速アップにつながります。
どうしても初心者だと、下半身(お尻)が全面の地面に向かって移動しがちなので、骨盤を
1.落として
2.横移動
を徹底させましょう。横で見守るだけでなく、シャドウピッチングの動画を撮ってあげれば、かなり意識的に練習に取り組めます。
スマホ一つあればできるので、ぜひ横で動画を撮ってあげてください。
一歩前の椅子に座る感覚で
先ほどのL字をより意識させるために、ピッチャーの一歩分先くらいにパイプ椅子を一つ置いてあげます。
そこに座るようにして下半身を移動させてください。
上の図の星の位置に椅子を置き、そこに座るように指示します。
そうすると必ず下半身(お尻)から体重移動させるはずです。いわゆる「ヒップファースト」で、これが球速アップには必要不可欠な下半身の使い方です。
椅子を本当に置いてあげると、子どもたちはきゃっきゃと笑いながらやるので、おすすめの練習方法になります。
これが下半身の使い方ですね!
基本的なものはだな!とにかくいかに「真っすぐ方向」に「最大限の力」を発揮してあげるかが大事だ!
やっぱりこのコツを習得するのは難しいですか?
難しいといえば難しいが、キャッチボールのときに意識すれば、何度でも練習ができるぞ!結局普段の練習の中でどれだけ無駄がないように意識的に練習するかが大切だ!
球速を上げるための下半身トレーニング
体を上手く使いこなせることと同時進行で、筋力そのものも増大させましょう。
やはり球速アップに筋力を鍛えることは必須です。また、走り込みは普段練習中に取り組んでいると思うので、今回は家の中でもできる初心者向け下半身トレーニングを紹介します。
- ランジ(前後、左右)
- しこ踏み
- スクワット
家の中でドタバタならずにやれる下半身トレーニングを挙げてみました。
一つ一つやり方を見ていきましょう。僕のチームでは、このトレーニングを2か月やって球速5km/hアップできた子どもがいます。
下半身の筋力アップにはランジ(前後)
下半身の股関節を鍛え、柔軟性も高めるトレーニングです。
体を力が発揮しやすい姿勢で支え、下半身の力を上半身に伝える役割が股関節にはあります。
結局下半身の力を上半身にうまく伝えきれないと、球速アップには至りません。
ランジはそのための最適なトレーニングでありストレッチであると言えます。
練習などで早く、短時間で高負荷な練習をするかもしれません。家の中ではじっくりゆっくり時間をかけてトレーニングして、筋力アップと同時に、柔軟性も高めましょう。
ダイエットにも効果的なので、保護者の方で最近腰回りのお肉がついてきた方にもおすすめです。
下半身の安定感につながるランジ(左右)
先ほどのランジは前方向のみです。
筋肉や柔軟性の場合、表と裏があると考えましょう。例えば腹筋(表)を鍛えるならば、背筋(裏)も鍛えなければいけません。
股関節においても前後があるならば、左右があります。
以前僕がランジの知識なしで指導していたころ、バッティングやピッチングでうまく体重移動をできない子どもが多かったです。
何度も体重移動を教えるのですが、なぜかうまくいきませんでした。
そんな中出会ったのがこのランジとレーニングです。これを練習に取り入れて1か月で、子どもは力強い体重移動をできるようになりました。その結果ピッチャーも球速が上がります。
つまり下半身の使い方を習得し、効率よい筋力の発揮方法を取得できたわけです。
股関節の筋力と柔軟性の大事さを痛感した瞬間でしたね。
しこ踏みで股関節を鍛える
こちらも股関節トレーニングとしては非常に有効です。
四股を踏む際には、姿勢に特に気を付けましょう。
- 背筋はまっすぐ
- ひざがつま先より先に出ない
- ひざを真っすぐではなく、外に向ける
初心者にさせると、猫背になったり、きつくてひざの位置が正しくなかったりするので注意が必要です。
下半身トレーニングの王道「スクワット」
球速アップのために、昔から取り組まれている「スクワット」。
単純にきついトレーニングですが、「王道である」ということは、確かな結果が現れるトレーニングと考えることもできます。
先ほどの四股と同じように、背筋を真っすぐやひざがつま先から出ない、といったことを注意させましょう。
近年いろいろなトレーニングが考案されていますが、結局王道は王道なのです。
ただし、スクワットを行うときに注意点があります。
- 膝がつま先より出ないようにする
- 背筋は真っすぐ
- 真っすぐ地面にお尻を落とすイメージ
スクワットをやっていると、どうしても前かがみになり、正しく筋力アップできない人を見かけます。
正しい姿勢で下半身の筋力をアップしましょう!
球速を上げるのに近道はないってことですね。
とくにトレーニング関係な。ただし、どこをどう鍛えるメニューなのか、といったものは最新の科学的トレーニングの方が研究されている。要するに王道に科学的知識をどう埋め込むかってことだな。
決して昔のやり方がすべて間違っているというわけではないんですね。
そうだな。だからこそ、昔同様に今のピッチャーも走り込みは大事だとされているし、それで結果が出るだろう?
そうですね。やっぱり走り込みも大事なんですね。
球速を上げるための下半身の使い方やトレーニング!初心者投手必見講座:まとめ
下半身の使い方をマスターし、トレーニングをすることで
- 球速が上がる
- コントロールが安定する
- 筋力を効率よく使える
が期待できます。
球速を上げるための下半身の使い方は
- ユニフォームにしわを作って割れを意識する
- 軸足のひざの位置を内側に
- 骨盤をL字を描くように移動させる
- 一歩前の椅子に座ろう
こうすることが重要です。
球速を上げるための下半身トレーニングには
- ランジ(前後左右)
- 四股踏み
- スクワット
これらが効果的です。