この記事では「ボールを回転させた方が良い」と言われる日本野球に、一石を投じる、指の長さに見るピッチャーの適正の見極め方を紹介しています。
ボールにより多くの回転をかけることが良い、と日本の野球では言われます。
果たしてそうでしょうか?いいえ、ピッチャーによって適性を見分けるべきです!
その方法と、適正に応じた目指すべきピッチャー像を紹介します!
野球指導歴10年の一球たろうが紹介します!
回転率がボールに与える影響!これを見れば、必ずしも回転しなくて良い
遠投いくぞーーー!!
よっしゃーー!!こっちこいやーー!!…ナイスボール!(あいつの投げるボールって本当伸びるな)
よーし!こっち早く投げろー!…(あいつのボールすぐ沈むな…)お前のボール回転かかってないぞーー!!
ボールはより多く回転させた方が良いと、日本の野球では言われます。フォーシームの握り方で、回転を多くかけることで、フォーシームの良さを引き出すためです。
ここで疑問なのが、ボールの回転って多い方が良いのか?ということ。下の表にボールの回転数が多い・少ない場合の効果をまとめています。
ボールの回転数 | メリット | デメリット |
多い |
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少ない |
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こうして見ると、ボールが回転しないことでデメリットはありますが、メリットもあります。必ずしも「キレイで伸びがあるストレート」が打たれないわけではありません。
一方必ずしも「回転の少ないストレート」が打たれるわけでもありません。
要するに、指導者がピッチャーの適正をどう見抜くかです。そのヒントは「指の長さ」にあります。
ボールの回転を多くしやすい投手:指が長い
ボールの回転について、方向性を見極めるときまずはピッチャーの指を見ましょう。
指が長いピッチャーは「回転数を多くする」ための、フォームの工夫をするべきです。
指が長いピッチャーは球の回転を多くする理由
図からも分かるように、指が長いほどボールと体が接地している距離と時間が長くなります。
そのため、力強くボールを押し出しやすく、ボールに回転がかかりやすくなると言えるでしょう。
指の関節が柔らかければ、よりボールに回転をかけることができます。
もしも、ピッチャーの指を見て「普通より長い」と思えば、このタイプのピッチャーを目指すべきですね。
ボールの回転を多くするフォーム
先ほど紹介した指の関節を柔らかくすること以外に、ボールの回転を多くするための工夫があります。
それは、一般的に指導されている「下半身を使った投げ方」を意識すると良いです。
こちらの記事でも紹介しているので、参考にしてください。
お手本にしたい下半身をフルに使ったフォーム
怪物として甲子園で名をはせた、吉田選手のフォームは、下半身をフルに使ったフォームだと言えます。
一般的に「ボールの回転は多く」と言われるのが日本の野球です。
そのため、ピッチャーのフォームもどちらかというと、下半身を使ったボールの回転を多くするためのフォームが指導されています。
逆に「下半身じゃなくて、上半身を使え」はあまり言われません。これこそ「ボールを回転を抑えた」ピッチングなのです。
ボールの回転を少なくする投手:指が短い
指の長さは天性のものなので、努力でどうにかなるものではありません。だからピッチャーは諦める、というにはまだ早い。
ボールに多くの回転をかけられなくても、回転が少ないことのメリットを活かせば良いのです。
これはどちらかというと、メジャーリーガーに多い投げ方になります。
指の短いピッチャーが球の回転を少なくさせる理由
先ほどの図からも分かるように、指が短いと長い人に比べて、ボールの回転は上げられません。指がボールと接地している、距離と時間が短いからです。
ならば、ボールの回転が少ないと「ボールが飛ばない」というメリットを最大限に引き伸ばしましょう。
以前、指が長い・短いそれぞれのピッチャーを育てました。一人は日本人風のフォーム、もう一人は外国人風のフォームにすると投手起用に幅がでます。
結果的に、どちらも同じくらいの防御率でした。
ボールの回転を抑えてメリットを活かすフォーム
ボールの回転を抑えて、「ボールが飛びにくい」フォームは基本的に「ボールに体重が乗っている」フォームだと思ってください。
そのために大事なことは以下の点です。
- 足を高く上げる
- 足を踏み込んだ時、あまり沈み込まない
- 上半身を上から下方向に落とし込み、重力を味方につけるイメージ
普通ピッチングでは「足を沈み込ませろ」と言われます(先ほど紹介した別記事にも書いています)。
このフォームでは重力を味方につけたいので、足を沈み込ませると重力と反発し、目指す効果が期待できません。
イメージは「メジャー風」のフォームだと思ってください。
お手本にしたい沈み込みを抑えたフォーム
動画はメジャーから帰国したのちの上原投手です。
メジャーでは日本人はどうしてもパワー不足に悩まされます。そのため球の回転を多くしたボールでは、簡単にホームランを打たれるのです。
(日本で無双を誇った田中将大選手は、素晴らしい成績を残しつつもNPBシーズン被本塁打の平均が9.42本。MLBでは平均25本で、被本塁打が急増しました。)
上原投手は、日本で活躍していたときは深く沈み込むフォームでしたが、メジャーでケガをして以降、沈み込まないフォームに変わりました。
ようするに、球の回転を「多く」ではなく、ピッチャーをするのであれば自分の適性を見抜くことが大事ってことですね!
そういうことだ!もちろん野手としては、伸びるきれいなストレートを投げたいところだがな!味方野手に変化するボールを投げたってメリットはないからな…
あ~そういうやつたまにいますね。投げたボールがシュートするやつ。確かに捕球しにくいです。
必ずしもボールは回転させなくていい!指の長さに見るピッチャーの適正:まとめ
ボールの回転数は多い方が良いとされていますが、ピッチャーをやるにあたって、それは絶対ではありません。ボールの回転が少なくても、メリットはあります。
指が長いピッチャーは「ボールの回転数を多く」するフォームが適しています。
一方指が短いピッチャーは「ボールの回転数を抑えた」フォームが適しています。
それぞれの適正を見出して、タイプの違うピッチャーを用意すると投手起用に幅が広がり、相手チームにボールを絞らせるようなことをさせません。