この記事では野球初心者が、打率を1割向上させるために行うべき素振りの方法や意識について紹介されています。
自宅で手軽にできるバッティング練習は素振りです。どんなにセンスがある選手でも最も基本であり、最も大切な練習です。
しかし、方法や意識すべきことを間違うとただの無駄な時間にしかなりません。そこで、今回は時間を無駄にしないための練習方法や意識を紹介します。
(素振りを頑張る君へ、ぜひとも紹介したいトレーニングバットを紹介しています)

野球初心者が素振りをするときに意識すべき「パワーか」「フォームか」

1.2.3.4…

お。感心感心。素振りは一番大事なバッティング練習だ。ところで今何を意識して振っている?

とりあえず100本振ることですね。

いや確かに数を多く振るのも大事なんだが、「~するための素振りです」って答えられれば100点だよ。

そこまでは考えてなかったっす。

同じ素振りの時間なら、「~するための素振り」を意識するだけで効果は見違えるほど違うよ!
とまあ、こう書いてはみたものの
- 野球初心者が集まったチームで
- 家で素振りをする意識の高い子どもは
- なかなかいませんでしたけど!
初心者が家で自主的に練習をするようになるまで半年かかりましたが、この方法はまた別の機会に。
ここでは野球初心者が素振りをするときに意識すべき素振りの「目的」について紹介します。素振りの数をこなすことは大切です。
しかし、目的別の的確な方法で素振りを変えた方が、より効果的な練習になります。
では、素振りをする目的には何があるのか。
- パワーをつけるための素振り
- フォームを固めるための素振り
に大きく分かれます。二つの目的別に練習方法も変えるべきです。バッティングでは特にパワーが重要な要素になります。
打球を50m飛ばせる選手と100m飛ばせる選手単純に飛距離で見るとパワーは2倍の差です。
この2人の選手が打つゴロの速さは当然パワーがある人の方が速いですよね。打球が速ければその分野手が追い付けなくなりヒットの可能性はあがります。
バッティングにおいてパワーは重要なものであることは言うまでもありません。
そして、バッティングフォーム。
自分が持っているパワーを100%ボールに伝えなければもったいないです。100の力があっても、50%しか伝えきれない選手と60の力があって、100%伝えられる選手では、60の力の選手の方が打球は飛びます。
100%パワーを伝えるためにはバッティングフォームも重要です。
また、バッティングフォームがきれいで無駄がなければ必然的にミート力が向上し、打率の向上につながります。だからパワーをつけるべき子どもがフォームばかり気にした素振りをしても効率的ではありません。
反対もまた同じこと。
ましてや目的意識のない素振りは効果的とは言えませんし、特に初心者は目的など意識していません。
素振りの目的に
- 「パワーをつけるための素振り」
- 「フォームを固めるための素振り」
どちらを目的とするかは明確にしておくべきです。そうしなければ無駄な時間を過ごすことになります。
もったいない。せっかく自主練に取り組んでいるのだから。
当然の話ですが自主練に取り組む選手はかなり伸びます。
(1か月で打順が6番から1番に変更するほど、自主練に取り組んで成果を上げた子どもも過去にいました)
初心者が取り組むと効果的な素振り:パワー編

監督!手っ取り早く結果を残すには、パワーとフォームどちらを身に付けるべきですか?

うーん。どちらも大事だけどな。1つを選べというのであれば、俺は「パワー」かな。

なんでパワーなんですか?

当たれば何か期待できるから。これ一択。

分かりました。じゃあパワーを上げるための素振りの方法を教えてください。

お、教えるからちゃんとやれよ。初心者のお前でもできる簡単な練習方法を教えてやる。
「片手素振り」でリスト強化
方法はとっても簡単です。バッターボックスで構えたときにピッチャー側の手だけでバットを握ります。(右バッターなら左手、左バッターなら右手)そしていつものように素振りをする。以上。
初心者でも簡単でしょ?
これで振れば、かなりリストが鍛えられます。ただ効果的にするために意識するポイントがあります。
- バットを持っている手の脇はスイングの始動からフォロースルーまでずっと「力強くしめる」
- ドアスイングにならないよう「内から外へ」バットのヘッドが移動するように振る
- バットを持つ手の甲を「インパクトの時は甲が上を向く」「フォロースルーの時は甲が下を向く」ように振る
- 重たいバットよりも軽いバットの方がやりやすい
この点に気を付けてください。とくに初心者は片手素振りをすると脇が開いてしまいます。
脇が開けば力を入れにくくなるのでしっかり締めるように教えてあげてください。
空いている手(キャッチャー側の手)をグリップに近づけて(持ったフリ)やると意外とやりやすかったりもします。
「早素振り」で体幹を中心に前進を鍛える
教えてやる側の準備はストップウォッチのみ。スマホにも搭載されている機能なのでスマホでも構いません。
30秒間ひたすらバットを早く振らせてください。
この時に回数の目標は必ず作らせてください。最低でも30秒で30スイング以上。僕のチームでは1分で70スイング以上を最低ラインとしています。
かなりきついです。フォロースルーを丁寧にする必要はありません。インパクトの瞬間だけは力を入れさせて
すぐにトップの位置にバットを戻させます。
初心者はインパクトの後のフォローはだらだらしているし、トップに戻すのも遅いです。早素振りを早くしようとすればするほど腹筋と背筋、ももの筋力が必要です。
軸の安定にもつながりひいてはバッティングフォームの安定にもつながります。
30秒振ったら、30秒休憩、また30秒振って、30秒休憩…
このようにして10セットするだけで時間は10分しかしていないのに300本の素振りをすることになります。
時間ですべて制約されているのでかなり効率的な素振りの時間にできます。初心者は自主性に任せると間延びした練習しかしません。
「最初の10分は一緒にいてあげる」くらいのつもりでやると、こちらの気持ちも長続きします。
「今日は宿題に時間がかかって、自主練の時間が短い」
というときにも便利な練習です。(しっかり宿題もさせてくださいね)
大股開き素振りで下半身のトレーニング
このトレーニングではバッティング時の土台となる下半身の動きと筋力をトレーニングします。肩幅の2倍くらいに足を開いて、膝の高さまでお尻を落とします。
(この時つま先よりベース側に膝が出ないように)
- ピッチャー側の足に体重をかける(前)
- キャッチャー側の足に体重をかける(後)
- ピッチャー側の足に体重をかけると同時に振る(前)
しっかり腰は回すように素振りしてください。初心者で力のない子どもは下半身の力が弱く伸びあがったり(お尻の高さが変わる)大きく前後の移動ができていなかったりします。
慣れるまでは横にいて動画を取ってあげてください。前→後→前の順番で素振りをすることで体重移動の練習にもなります。
また、状態が突っ込んで打ったり泳いで打ったりしてしまう子どもには後→前→後で練習させたりもしました。この練習で以前まで「打球が上がらない」ことで悩んでいた子どもがホームランを打つほど弾道が上がるようになったこともあります。
バットリングを装着して素振りをする
「パワーをつける」の王道中の王道ですね。個人的にはマスコットバットよりもバットリングを装着した方が良いです。理由としてはミートポイントの感覚がバットリングの方は強く感じられるから。
マスコットバットの中には
- ミートポイントが重いものと
- ただ単に全体が重いもの
があるため、バットリングの方が確実にミートポイントを感じながら素振りが可能です。初心者にはきついかもしれませんがバットリング×早素振りはかなりおすすめの素振り方法です。
少しバットが振れるようになったらレベルアップの練習法として良いと思います。
初心者が取り組むと効果的な素振り:フォーム固め編

監督、この筋肉見てください!

おお!すごいな!最近打球が外野まで飛ぶようになったと思ってたけど、家でかなり振り込んでいるみたいだな。

そうです。でも体は俺より小さくて、力も弱いあいつは、俺より飛ばすんですよね。

そりゃ、体は小さいがあいつのスイングには無駄がないもんな。

じゃあ、俺があいつくらい無駄のないフォームになればどうなりますか?

お前ならフェンス超えるかもしれないな。まあ、パワーももう少しつける必要があるし、体重移動も、あれもこれも…

全部教えてください!!

さすがに一気は無理だが、初心者のお前でもできる簡単な素振りを教えてやろう。ライバルを持つことは大切だ。
ゆっくり素振り(スロースイング)で形を確認
動画を保護者が横にいつもいるわけではありません。むしろいない時がほとんどです。フォームを確認するためにはスロースイングが効果的です。
初心者が確認すべきポイントを紹介します。
- 構えたときに力は抜いているか(傘を持った位置が一番リラックスできている)
- テイクバックできちんと体重は後ろに、バットのグリップは構えた位置よりも後ろに引いているか
- (右打者なら)バットのヘッドが右肩を出発点としてなるべく体の近くを通っているか
- コース別にバットの角度を変えてインパクトしているか(別ページ参照)
- 手首を返しながらフォロースルーに入れているか
一人ひとり見るべきポイントを挙げようと思えば気にすべきところの数だけ注目ポイントはあります。ひとまずは初心者がスロースイングの素振りをするときに見るべき最低限のポイントを紹介しました。
また、大きな鏡の前や庭に面した窓(部屋の中を暗くすると自分がよく映る)の前でやるのも効果的です。
インサイドアウトの素振りを徹底
「ボールの内側をたたけ」「バットを内側から出す」確かにインサイドアウトの練習ですが初心者は全くイメージができません。
次のイラストが「ボールの内側をたたけ」です。
ただ、これはあまり教えすぎると逆効果です。ここに当てようと必死になりすぎて初心者はバットの角度が変わらないまま振り抜こうとします。
上図のようなイメージ。あくまで内側をたたきつつ、手首を返すことは忘れないで素振りさせてください。
次に「バットを内側から出す」です。
図の→にバットのヘッドが沿うように素振りをさせます。教えるときは地面に基準の線を描くと効果的です。
これがインサイドアウトです。
初心者に身に付けさせるべきバッティングフォームはこの動きだと思います。しかし、これを習得するのはかなりの時間がかかるので、根気よく教える必要があります。気長に教えましょう。
すぐには無理です。
巻き付きバットで「ムチのように振る」
僕がこれまで教えてきたチームはなかなか打率が伸びませんでした。かなり、深刻なときは9打者中7人が三振を取られたくらいです。
そんなチームが一気に打率向上させたのが「巻き付きバット」でした。
先ほどのインサイドアウトもそうですが初心者は「ムチのように」バットを振るがイメージできません。だってバットは金属ですから。曲がったりしません。
しかし、上級者は「ムチ」と表現します。このイメージをつけるために「巻き付きバット」を購入してみましたが
「ぶっちゃけこれだけやっとけば、打てるんじゃね」
というくらい効果がありました。
引用:https://store.shopping.yahoo.co.jp/k-conmart/makituki.html
この巻き付きバットを
- へそ部分で持ってその位置を固定
- 手首だけ返してヘッドが背中に「ばしっ」と当たるように左右に振り回す
これを往復10回くらいします。そして背中で「ばしっ」と鳴るようにいつものスイングをする。巻き付きバットを購入したとき専用のボールもいくつかついてきます。
それでティーバッティングをしても良いです。これで練習するだけでチームの打率は1割向上しました。驚異的な数字過ぎて、バットを崇めたほどです。
インサイドアウトがこれほど重要とは…
とくに初心者に使わせると効果は倍増。中には思い通りの方向に打球を打てる広角ヒッターもチームに出現しました。その子どもが「巻き付きバットのおかげ」と言います。
逆に背中に「ばしっ」が痛いからという理由であまり使わなかった子どもはなかなかインサイドアウトが身に付きません。
だから打率も思うように伸びませんでした。価格も5000円程度とかなりお手頃な上、5000円以上の価値はあります。
僕からすると1…いや
5万円の価値はあるバットだと思います。
それほど効果的です。初心者が素振りをするなら購入すべきです。そして、周りの上手いやつらには教えるべきではありません。上手いやつらがもっと上手くなってしまいます。

俺もほしいな。父ちゃんに頼んでみよう。
ステップスイングで体重移動を覚える
パワーの素振りで紹介した大股開きは下半身のトレーニングも兼ねたものでした。このステップスイングは
完全に体重移動のイメージに特化した素振りです。
上の図の1~3の順番で足を運びます。3で足が着地すると同時にスイング。体重を右足から左足に一気に移動させます。(左バッターは逆、一球たろうは左打ちなのに逆の説明してごめんね)
スイングした後に3の足だけで立つくらい体重移動させても構いません。
その時は2の足のつま先を引きずるようにすると3の足に「カベ」が生まれて良いです。

これがフォームを固めるために、初心者がするべき素振りだ。簡単だろう?

本当ですね。今度からそっちもやってみます!

パワーもフォームもどちらも大事。あ、それとどちらの目的の素振りをする上でも、「最も意識すべきこと」もあるから聞いとけ。
初心者が取り組むと効果的な素振り:意識編
過剰な「ダウンスイング」の意識は打てない
素振りやバッティングを教える時に「たたきつけろ」と言ってダウンスイングを教える方を見ます。言おうとすることは上級者になれば分かるのですが初心者には危険な教えです。
僕はこれで2人の子どものミート力を低下させてしまい修正をかけるのに苦労しました。
その2人はダウンスイングを意識するあまり一度あごが浮いて、インパクトの時に下げようとするのです。目が動き、ボールが捉えられません。そしてダウンスイングの一番の欠点はボールを「面」で捉えられず、「点」で捉えてしまいます。
赤で示したレベルスイングの方がはるかにボールを捉える範囲が大きいですね。それはつまりボールに当たる可能性が高くなるということです。
また、ボールの弾道を上げて飛距離を出すのであればボールの中心より若干下を打つ必要があります。
ダウンスイングでボールの下を叩いてボールにバックスピンをかけて飛ばすことはできますがかなり難しいです。レベルスイングでボールの若干下を並行に捉えた方が無難ですしこれでも十分バックスピンはかけられます。
初心者が素振りをさせるときはレベルスイングを意識させましょう。
ストライクゾーンを9つに分けて素振りをする
僕は「ストライク」を打つために9つのスイングを持つべきと考えています。初心者は大抵自分の振りやすいところを振っています。
振りやすいところと聞いて「真ん中」をイメージしがちですが、初心者は想像をはるかに超えます。
とんでもない高めのボール球だったり低めの膝より下のボール球だったりします。しかもこれが全く悪気がないからたちが悪い。ちょっと意識しなくなるとすぐに元通りです。
ストライクゾーンは大きく9つに分けられます。それぞれのコース・高さにそれぞれに対応するスイングがあります。
100本の素振りをしたとして、それを9等分すれば1つのコース・高さあたり11本しか振っていません。
もしインコースを振る練習を怠れば素振りをやったつもりでもインコースは打てません。
常にどのコースを振っているかは意識させましょう。
100本の素振りで11本ずつ丁寧に意識するだけで打率は向上するはずですし、ファールで逃げればフォアボールの可能性も高くなります。
あえて暗い中で素振りをして投手をイメージ
冬のトレーニング時期になると素振りをするチームや選手は増えると思います。ただ、環境が良いところではナイター設備があります。僕は練習の最後に素振りをさせるときナイターは消します。なぜなら
暗闇の方が投手をイメージしやすいからです。
どうしても明るくて目に入る情報が多い場合初心者は気が散ります。それはとなりの友人であったり道をゆくきれいな女性だったり、はたまたグランドに入ってきたキジやイノシシだったり…
(野生動物が入ったときは練習を兼ねて走って追いかけさせます)
イメージトレーニングも兼ねた素振りにしましょう。
- ピッチャーが150km/hを投げる
- セットポジションから投げている
- ワインドアップ、クイック、けん制を入れる
たくさんの状況があります。
- カウントはどうなのか
- ランナーはどこにいるのか
状況に合わせたバッティングも必要です。「頭を使った野球」をさせるために1スイングずつカウントとランナーをこちらが設定しどこに打つか宣言させて素振りをさせたこともあります。イメージ力は練習の効果を何倍にも膨らませるし、実際にその場面が来たときに頭が真っ白になることを防ぐことができます。
変化球なのか直球なのか考えて素振りをすると対応力が身に付く
初心者の素振りを見ていると全部同じタイミングで振っています。しかしそこまでお人よしなピッチャーはいませんよね。
だから僕は直球なのか変化球なのかイメージをさせながら素振りの練習をさせます。
普通素振りでは1.2.3の3でスイングしますよね。これを
1.2.ストレート
1.2.カーブ
の二つを用意し、ランダムでこちらが言います。1.2.ストレートならいつも通りのタイミング。1.2.カーブなら1.2.3の3で我慢して4で振るイメージ。
この練習を取り入れて
カーブに泳がされる選手が激減しました。
カーブは打てない初心者チームにとって大敵です。相手投手も分かって投げてくるところが憎たらしい。
だから徹底的にカーブ打ちの練習をします。要するに「待ち」の状態を長くできればよいのです。
バッティング練習も工夫したし素振りでも徹底的にカーブの練習をさせました。
家で行う自主練の素振りのときは保護者に先ほどの練習に付き合うように子どもにお願いさせます。効果は半月ほどで出ました。ぜひ、直球とカーブを意識した練習をさせてください。

素振りと言っても意識することや方法はさまざまなんですね。

そりゃ、バッティングで一番大事で基本な練習だからな。素振りを大事にできる選手は伸びるよ。

分かりました!父ちゃんに練習に付き合ってもらえるときはそうしてもらいます。

スマホで動画を撮るとか、「1.2.カーブ」くらいなら母ちゃんでも手伝ってもらえるから、ちゃんと宿題を終わらせて手伝ってもらえ。

う…宿題は…
素振りを頑張る野球初心者必見!打率を1割上げるための練習方法と意識:まとめ
野球初心者は素振りのときに目的を設定できていません。「パワーをつけるため」「フォームを固めるため」どちらかの目的意識を持たせると効果は数倍違います。
初心者におすすめのパワーをつける素振りは、片手、大股、早素振り、バットリングをつけるなどの方法があります。
初心者におすすめのフォームを固める素振りは、巻き付きバットを使ったインサイドアウトの練習や、スロースイング、ステップスイングなどがあります。
初心者が素振りをするときに意識すべきことは、レベルスイング、9つのコースに分ける、投手が投げる球をイメージすることなどがあります。