この記事では地域の野球クラブの指導者なら読むべき「選手の進路」に関わる内容が紹介されています。
野球をやっていると、高校から声がかかることもあります。指導者は「推薦してあげたい」と選手を紹介したいものですよね。
指導者としては推薦や特待で紹介できれば株が上がります。
しかしその進路決定。一度よく吟味してほしいことがあります。

野球を通して進路が決定するのは指導者冥利に尽きる
野球をやる子どもが、その得意を活かして高校へ進路決定するのは、指導者としてはうれしい限りです。
何といっても、自分が育てた選手が他でも認められた、という証拠ですからね。
強豪校に声をかけられるほど、その喜びは増しますし、選手が高校でも野球を続けることの楽しみが増えます。
推薦や特待の誘いが多くあるほど、選手にとっては進路の選択肢が増えるわけで、これは保護者としてもうれしいこと。
しかしとくに部活でなく地域での野球において、選手の進路について「ある問題」が起こることは、いくつかあります。
もしも、この記事を読んでいるのが地域スポーツの指導者であれば、ぜひ注意しておきたいところです。
選手の「推薦」「特待」の入試を受けさせるのは学校に決定権あり
まず注意したいのは、選手に高校の推薦入試や特待の上での入試を「受ける許可」を与えるのは学校であるということです。
あくまでも、進路の最終決定権は学校にあると思わなければなりません。
推薦や特待の場合、学校が「この子どもなら、そちらの高校で学力・部活・学校生活ともに絶対頑張ります」と言ってるようなもの。
いわゆる学校からの推薦、というものです。一般的には「内申点」という言われ方がされます。
(学校ではあまり内申点とは言いませんが)
これがないと、入試そのものを受けられない=声をかけられた高校の受験すらできない、ということ。
これをしっかり分かっておきましょう。
学校が推薦や特待を許可する基準とは?
地域スポーツの指導者で、どれだけ高校とのパイプがあっても、学校が許可しなければ受験はできません。
では、学校が推薦入試や特待での入試を許可する基準とは何のでしょう。
主にこういったものがあげられます。
- 受験校で十分通用する学力(成績)であること
- 学習活動に一生懸命取り組んでいること
- 学校生活において授業以外の面でも一生懸命に取り組んでいること
- 部活動・生徒会活動等の活動においても顕著な結果を残していること
- 学校外の活動において顕著な結果を残していること
学校によって、詳しい基準については違います。
この中でもっとも分かりやすいのは、学力(成績)で、これについては数字ではっきり出ます。
一方、学校生活や部活動・生徒会は具体的な数字で出ない分、曖昧なところはあるでしょう。
地域スポーツで結果を残していれば、「学校外の活動」において十分な評価を受けます。
その「結果」というものも曖昧で、具体的なものはありません。
曖昧だらけですが、「当たり前のことを当たり前に」できていることが最低条件です。
学校が推薦を許可しないことなんてあるのか?
学校が推薦を許可しない場合は、「当然あります」。
学校は推薦を許可しないこともあり、もし指導者と高校側で話が進んでいると、その話がなかったことにも…
地域スポーツの指導者は、これから挙げる「学校が推薦を許可しない」場合を熟読してください。
- 授業や学校生活に真面目に取り組んでいない
- タバコ・酒などの違法な行為をした過去がある
- 学力(成績)が受験校の水準に達していない
要するに「外で野球だけやって、学校じゃめちゃくちゃ」と思われると推薦されません。
地域で野球をやっているときは、良い面をしつつ、学校じゃ指導に従わなかったり、一生懸命に取り組んでいないときです。
もちろんこれについても基準は曖昧なところがありますが、以下の基準は参考にできます。
- 成績表の各教科において「興味関心態度」の項目が「C」が多い
上記の状態の選手は、大抵授業も学校生活もきちんとできていません。
このような選手は、推薦が出されないと思って良いでしょう。
地域スポーツをやっているからこそ、そのあたりはより厳しく見られていると思ってください。
ついでに学校では推薦者を決めるうえで、担当学年・他学年の先生、管理職などで会議を開いています。
一人の先生だけで判断しているわけでないことは、知っておきましょう。
地域スポーツの指導者が選手の進路決定のためにできること
学校と地域スポーツの指導者がきちんと連携が取れていると、この進路決定の話はスムーズに進みます。
進路決定は大事な作業。ぜひ、こちらに挙げたことに取り組んでみると良いでしょう。
- 1年生や2年生の早い段階で学校の担任の先生などと話をする
- 地域の祭りやイベントで、先生に選手の学校生活の様子を聞く
- 選手に学校生活を大切にすることを指導する
どんなに指導者の前で良い素行の選手でも、学校で180度違った顔を見せている例はいくらでもあります。
だから、学校と地域スポーツの指導者の連携が取れていると、進路についても話を通しやすくなります。
学校からも連携を取ってほしいところですが、学校にはたくさんの生徒がいるため、現実難しいです。
野球部の顧問の先生を通してでも良いので、少しでも学校との接点を持っておくことをおすすめします。
野球で進路を決定したいときは、まず学校生活を見直そう
推薦や特待によって、高校から「来てくれ」と言われることは、非常に素晴らしいことです。
少子化が進む中、よほど強豪校でもない限り、高校は選手を欲しています。
だから、本来声がかかるのも「?」となる実力の選手にも、声がかかることが実情です。
部活動の選手と比べ、地域のスポーツ少年団に所属している場合、先生の目が行き届きません。
野球をやっているときは良い選手でも、学校では素行が悪い生徒となっている可能性もあります。
その場合、推薦をする学校は許可をしないため、そもそも受験が出来ない可能性が出るでしょう。
そうならないためにも、地域の野球の指導者は、ぜひ選手に学校生活を正すようにも指導し、学校と連携を取ってみてください。
地域・学校全体で、選手である前に「子ども」である教育の面に目を向けてみましょう。