一塁ベース付近ではいろいろなプレーが考えられます。一塁をバッターランナーが駆け抜けた後、フェアゾーンにいたらタッグ(タッチ)アウト、というルールを聞いたことありませんか?
もはや定説となっている雰囲気もありますが、はっきり言ってそれは違います。
知っている人は少数派の、一塁駆け抜けのルールとは?

野球指導歴10年、審判として講習会に何度も参加した一球たろうが、公認審判員の話を交えてご紹介します。
一塁を駆け抜けた後はフェアゾーンにいてはいけない?

(セーフティバント)….セーフ!!!あっぶね~ギリギリ間に合った!!

あ!内側(フェアゾーン)にいる!ほい、タッチアウト。

え…?何やってんのお前…?

何って…お前内側にいたじゃん。負け惜しみ言うなよ。

セーフ!

え!?監督まで!?
(一塁でのこのルールを「馬鹿にすんな!知っているよ!」と思う方は、こちらの記事で多く共感していただけるかもしれません…)

一塁を駆け抜けた後、インフィールドにランナーがいるのでタッグアウト。そうならないように、ランナーも必死になってファウルゾーンに逃げます。
見ていてただただ、「何やってんだ」です。なぜなら一塁を駆け抜けて、ランナーがインフィールドにいてタッチしても「セーフ」だからです。
それを知らずに追いかけるファースト、ファウルゾーンに逃げるランナーを見ていると、「こいつらルール知らないな?」と思えます。
では、一塁を駆け抜けた後のランナーのルールはどうなっているのでしょうか?
一塁駆け抜け後のランナーのルール
一塁を駆け抜けた後のルールについて、公認野球規則で確認してみましょう。
5.09b 走者アウト
(4)ボールインプレイで走者が塁を離れているときに触球された場合。
【例外】打者走者が一塁に走るときは、ただちに帰ることを条件としてならば、オーバーランまたはオーバースライドして一塁を離れているとき触球されても、アウトにはならない
超簡単に解説していきます。
一塁を駆け抜けた後フェア・ファウルゾーンどちらにいても良い
分かりやすく解説すると
- タイムがかかっていないなら、ランナーは塁を離れていてタッグされるとアウトだよ
- バッターランナーが一塁を踏んだ後、すぐにベースに帰るならタッグされてもセーフだよ
つまりバッターランナーがフェアゾーン、ファウルゾーンにいる・いない、は関係ないのです。
大事なことは「すぐにベースに帰ろう」としているかどうか。
実際の審判員がもっと分かりやすく一塁の駆け抜けを教えてくれました
一塁を駆け抜けた後、ランナーがすぐにベースに帰ろうとしているかなんて、ぶっちゃけ分かりません。
メジャーやプロ野球でもランナーが一塁を駆け抜けると、悠々と歩きながら戻っていますよね?
以前公認の審判員の方に話を聞くと、一塁駆け抜けのルールについてこのような説明を受けました。
私たちが見ているのは、一塁を駆け抜けたバッターランナーが「次の塁に行く意思」を見せたかどうかです
審判員はバッターランナーが「次の塁を狙った行動をした」と確認すると、「塁を離れたランナー」と認識するそうです。
そう認識されているときにタッグをされると、フェア・ファウルゾーンのどちらにいたとしてもアウトを宣告されます。
具体例を挙げてみましょう。
一塁駆け抜け後「アウト」を宣告される例
例えば
- バッターランナーがサードにセフティーバントをし、一塁セーフ
- サードの送球が逸れ、カバーに来たライトがクッションボールを処理
- 一塁を駆け抜けたランナーは最初気付かなかったが、周りの声で送球が逸れていることに気付き、セカンドに行こうと体を反転する
- ランナーコーチの「ストップ!」の声にファウルゾーンにいたランナーは動きを中断する
- ライトがファーストに返球、ファーストがベースを離れているランナーにタッグ
これはルール上「アウト」を宣告されます。
とにかく判断の基準は、一塁駆け抜け後に「次のベースに行く意思」を見せたかどうか。
もしも、ランナーが最後まで送球が逸れていることに気付かずベースを離れていたら、タッグアウトにはなりません。

へ~~~判断基準はそこにあるんですね。フェアゾーンにいたら駄目かと思っていました。

そう思っている人はけっこう多いな。でも、規則でそうなっているのだから、正解はこっちだと言えるな。
一塁駆け抜けのルールが「ファウルゾーンに」となった考察
ではなぜ一塁を駆け抜けたランナーが、ファウルゾーンに逃げるような情報が出たのでしょうか。
おそらく、ケガ防止の観点からだと思われます。ベースを踏むファーストの足とランナーの足が交錯し、よくケガにつながります。
フェアゾーンでのファーストの動きは、基本的に送球次第。送球が逸れれば、そちらにファーストも動きます。
ケガを防止するために、スリーフットゾーンが一塁線に描かれているし、ランナーはそこを走らなければなりません。
この観点から考えると、いくらフェアゾーンに駆け抜けてもルール上アウトにならないと言っても、ファウルゾーンに駆け抜ける方が安全ですね。

特段理由がない限り、一塁の駆け抜けはやはりファウルゾーンが良いってことですね。

そうだな。ケガのリスクは0に近い方が良いの決まってるしな。
これってアウトなの?セーフなの?一塁駆け抜けのルール:まとめ
一塁駆け抜けのルールが誤解されています。バッターランナーが一塁を駆け抜けた後、フェア・ファウルゾーンにいるかどうかはアウト・セーフに関係ありません。
一塁を駆け抜けたあと、「バッターランナーがすぐにベースに帰る」のであればフェアゾーンだろうがファウルゾーンだろうが、タッグしてもセーフです。
公認審判員は「次の塁に行く意思」を確認できる行為があれば、その時点で「ベースから離れたランナー」と認識します。その時点でタッグをされるとアウトになるのが、一塁駆け抜けのルール。
とは言っても、ファウルゾーンに駆け抜けた方がケガのリスクを抑えられるので、できる限りファウルゾーンに駆け抜けをしましょう。