この記事では右ピッチャーのファースト牽制について徹底解説されています。
ピッチャーの数ある牽制の中で、最もランナーを刺しやすいのがファースト牽制です。
ピッチャーの牽制がうまいと、ランナーは思うように動けません。またヒットや四球などで出塁された「反撃」としても牽制は必須です。
ボークさえ気を付ければ、何度でもランナーを刺すチャンスがあるのです。
本記事では、右ピッチャー限定の「最強に使える牽制」を、「ここで使え!」というタイミングも含めて説明していきます。
牽制の方法だけでなく、実際の体験を通して感じる「アウトになる牽制」を紹介します。
ピッチャーが牽制をする重要性とメリット
監督!牽制ってどうすればいいんですか?
おー。お前もついに投げるだけじゃなく、周りにも目が向くピッチャーになってきたか!方法よりも先に聞きたいが、「なぜ牽制したい」と思ったんだ?
どうしてもランナーがいると「点を取られる」気になってしまうんです。
牽制でもワンアウト取れるチャンスがあるのは重要だ!ただ、他にも牽制をすることの重要性はふんだんにある!デメリットも合わせて考えておこう!
牽制をすることの重要性やメリットは、単にワンアウト取れるということだけでしょうか。
まだまだたくさんの重要性やメリットが存在します。
ランナーを刺してワンアウト取れる
先ほどから出ていますが、単純にランナーを刺してワンアウト取れることが一番のメリットであり、重要なことです。
ピッチャーをやっていたら、ヒットを打たれて悔しいときがありますよね。
それでもヒットを打たれた選手をアウトにすることができるんです。つまり「反撃」するチャンスですね。笑
リードを小さくできる
牽制が上手いピッチャーの場合、ランナーはリードを小さくしてアウトになるのを防ごうとします。
これはランナーにとっては大きくデメリットで、盗塁の成功は少なくなるし、バッターが打ったとしても進塁できる可能性が低くなります。
足を絡めた作戦ができなくなるので、監督もサインを出しにくくなるため一石二鳥です。
試合の流れに大きく関わるワンアウトの可能性
例えば1回ノーアウトでランナーを出すのと、同点9回ノーアウトでランナーを出すのでは、ランナーの重要性が全く違います。
試合には必ず山場があり、試合を運命づけるランナーがどこかで出たはずです。
そのランナーを牽制で刺せると、一気に試合の流れが変わります。
とくにアマチュア野球では試合の流れは重要で、メンタルが育っていない中学生や小学生は流れだけで、強豪を倒してしまうこともあります。
ピッチャーが牽制をすることのデメリット
牽制に回数制限はありません。(遅延行為と取られないように注意は必要)
なので牽制が上手ければ上手いほど、使用するべきとも思いますが、一方でデメリットも把握しておく必要はあります。
それが以下の2点です。
- ボークの危険性がある
- 野手のリズムが狂うこともある
牽制をやりすぎると野手のリズムが狂い、エラーにつながる恐れがあるのです。
野手はピッチャーの投球に合わせて、緊張感のオンとオフを切り替えており、牽制が長引くとオフの時間が長くなります。
ピッチャーがセットに入ったとき野手はオンの状態です。そこで牽制を入れたときはオフとなり、一瞬抜けてしまいます。
その直後にセットに入って、投球したボールが打たれたりすると、オフ状態のまま動くことになり、エラーをしてしまうのです。
結局野手が悪いのですが、牽制があまりにも多いと実は味方の野手は「早く投げろ」なんて思ったりも…
決して牽制はメリットだけじゃないんですね。
そうだな。野球には目に見えない試合の流れがある。それを上手くコントロールするのもピッチャーの役割だ!じゃあ、今からはデメリットで挙げた、「ボーク」について少し触れておこう!
牽制するときに気を付けておきたいボーク
牽制時にはボークにならないよう気を付ける必要があります。
「投球動作に入ったのに投げなかった」や「セット中に肩がブレた」などの分かりやすいボークでなく、「牽制時」にやりがちなボークは以下の2点です。(右ピッチャーのファースト牽制のみ)
- ファーストに向かって左足が踏み出せていない
- プレートを踏みっぱなしで偽投
詳しく見ていきましょう。
牽制時ファーストに向かって左足が踏み出せていない
牽制を入れたときに、ファーストに向かって左足が踏み出せていないとボークになります。
ホームベースに向かって足を出したのに、上半身だけで牽制を入れられるとランナーは動けませんよね。
その基準を明確にするために、牽制時には左足をファーストに向けなければなりません。
クイックで投げる時に、焦って足がを向かず「ボーク」と宣告されるピッチャーを時折見かけます。
右ピッチャーよりも、左ピッチャーが注意されやすいので、合わせて注意しておきましょう。
プレートを踏みっぱなしで偽投をする
牽制せず、偽投を入れることは当然ルール上問題はありません。
しかし軸足がプレートにかかっている状態で偽投をするとボークになります。
当然その知識は大抵のピッチャーがあるので、「セット」からの投球時にそれはあまり見かけません。
(こちらでいろいろなボークが説明されています)
良く見るパターンとしては、牽制を一度投げてファーストから返球をもらい、プレートに戻る途中で偽投を入れるパターンです。
「セットに入っていない」は関係ありません。
プレートに軸足がかかっているかが問題です。プレートに戻る最中に、軸足がプレートにかかった状態で偽投はボークです。
結構ボークの規定ってたくさんありますよね。
そうだな。勘違いしているパターンも多い。あくまで審判規則に沿って判定は出される。俺は「牽制をよくするピッチャー」だと判断すると、いろいろなボークの可能性を探してしまう。
こりゃピッチャーも大変ですね。
紛らわしい行動をしなければ大丈夫だ!牽制はシンプルかつスマートに!あまりにもしつこかったりすると、審判のイメージも悪くなるからな。
右ピッチャーの牽制の仕方
右ピッチャーの牽制は、大きくこの2種類に分かれます。
- プレートを踏んだ状態での牽制
- プレートをはずした状態での牽制
どちらにしろ、ファースト牽制だと背中側に勢いをつけて回転しなければなりません。
プレートを踏んだ状態のメリットは、短い時間で投げられることです。しかし、先ほどのようにボークに気を付ける必要があります。
プレートをはずすメリットは、自由に動けるという点のメリットが大きいですが、プレートを踏んだ状態よりはランナーにばれる可能性が高くなります。
プレートを踏んだ状態の牽制
プレートを踏んでいると言いつつも、セットの状態から軸足を全く動かさないかというと、そうではありません。
図のように、右足のかかとを浮かせながらプレートを踏み直し、左足もほぼ同時に移動させましょう。
軸足をしっかり踏ん張り、上体を鋭く回転させることで力強い牽制球が投げられます。
この牽制で重要なのは、軸足を「プレートの後ろ」に出さないことです。
軸足をつま先方向にスライドさせるようにして体を回転させると、より速く牽制を入れられます。
動画中の涌井選手の右足が、つま先方向に向かっているのを確認してください。
ただし注意点が一つ。
よくこの方法で「プレートをはずしている」と主張する選手がいますが、これはプレートを踏んでいるので「はずしている」には該当しません。
なのでこの状態で偽投をすると「ボーク」になります。
プレートをはずした状態での牽制
初心者であれば、まずはプレートをはずした状態の牽制を覚えましょう。
軸足をプレートの後ろにはずすして投げる牽制です。
一番簡単だし、1さえやればボークを宣告されることはありません。
なので「牽制のやりかたが全く分からない」というピッチャーは、まずこれから取り組んでみましょう。
もちろん、これで鋭く動けば十分ランナーを刺す牽制にできます。
いろいろな牽制の方法を組み合わせる
これまでに紹介した牽制をいろいろ組み合わせれば、牽制の幅がかなり広がります。
僕は基本的に「この四つを使いこなせ」と右ピッチャーには伝えています。
- 軸足をはずすだけで、目でランナーを威嚇←ランナーに「お前のこと分かってるぞ」とアピール
- 軸足をはずして、ゆっくり牽制←上と同様の理由
- 軸足をはずして、速く牽制←「これが俺の最高の牽制だ!」と思わせる演技
- プレートをはずさず、最速の牽制←ランナーを刺すための牽制。多用禁物
「能ある鷹は爪を隠す」と言います。
いつもランナーを刺すための最速の牽制をする必要はありません。
その牽制を多用すると「ここぞ!」の場面で力を発揮しなくなるので、1試合に3~4回程度が限界です。
意外と大事なのが3。
4のための布石として演技が必要なので、練習しておきましょう。
要するに2つの牽制に「強弱をつける」といった感じですか?
そうだな。要するにランナーとの騙し合いが牽制だ。バトルアニメでもいきなり必殺技は出さないだろ?それと同じ原理だな。
右ピッチャーの牽制でアウトになりやすいタイミング
牽制が物理的・雰囲気的にアウトになりやすいタイミングがあります。
普通ならば、ピッチャーはセットの状態、ランナーはリードしきっている状態からの駆け引きです。
この状態では「騙す、騙される」に重みがおかれます。
今から説明するのは「ランナーの隙をつきやすい」タイミングです。
リードを広げ切る直前の一歩
リードを広げ切る直前の一歩は、物理的にベースまでの距離が遠くなっています。
また一歩を踏む直前なので、意識はどちらかというと進塁方向になっており、隙がつきやすいです。
セットに入った状態から横目にランナーを見て、最後の一歩を踏む直前にクイックで牽制を入れましょう。
セットに入りながら動きを止めずに牽制
ランナーをやっていて一番警戒しているときは、ピッチャーがセット、自分がリードしきっている状態のときです。
バッテリーのサイン交換後、ピッチャーがセットに入って止まるまでの過程でランナーは、最大限警戒しようとします。
その瞬間を狙うわけですね。
またセットに入りながらの牽制なので、動⇒動となり、体もスムーズに動きます。
どうしてもセットからの勝負だと、静⇒動となり動きにくいです。
イメージ的には、この牽制が一番アウトにできる可能性が高いですね。
ランナーのONとOFFが切り替わる瞬間を狙うって感じですね。
そうだな!ベースから離れた瞬間から、気持ちはONのつもりでも緊張感に小さな波はあるはずだ。「ここ!」って時にランナーを刺せると最高だな。
(
(ファーストの牽制が完璧でも、セカンドは…?)
「ランナーを震え上がらせる」右ピッチャーのファースト牽制!:まとめ
牽制が上手くなれば「リードを小さくできる」「試合の流れが変わる」といったメリットがあります。一方、ボークには注意が必要です。また牽制のやりすぎで、野手のテンポも狂うことがあります。
ファースト牽制のやり方はプレートを「はずす」「はずさず」の2パターンあり、2パターンに強弱をつけることでランナーを惑わせることができます。
リードが出きる直前の一歩や、セットに入る動きの途中で牽制を入れると、ランナーの隙をついた牽制になるのでおすすめです。