この記事では自主練をしない子どもを自主練をする子どもに導くため、保護者や指導者が持つべきマインドをご紹介しています。
「強くはなりたい」でも自主練はしない。矛盾だらけの行動に、見ているこちらだけがやきもきします。
でも強制させては意味がない…
と思いますよね?果たしてそうでしょうか?
自主練をしない…でも強くなりたい。改めて「自主練」とは何なのか考える

~~~だから体幹を鍛えておくことは大切だ!家でも簡単にできるから、トレーニングしとけよ!

はい!
つぎの日。

体幹を昨日やったか?

あ…いや、それが…

どうした?

すんません。やってません。
自主練をさせるのは本当に難しいです。おそらく多くの人が経験していると思いますが、三日坊主になる可能性が高い。
でも目の前の子どもは野球好きそうだし、強くなりたいと言っている。だからダラダラ漫画を読んだり、スマホをいじっていたりすると「練習したら」と言いたくなりますね。
最初は何かやるかもしれませんが、次第に「う~ん。ちょっと雨が…」なんて言う始末。こうなればこちらも諦めてしまいます。
しかし人より上手くなりたい、良い結果を残したいと思えば、天才でもない限り自主練は必要です。
では、そもそも自主練とは何なのでしょうか。
俗に「自主練習」の略語として用いられる語。自主練習とは、スポーツや楽器などで熟練者の指導を受けている人が、指導者のいないところや規定の練習時間でない時などに自発的に行う練習を意味する語である。
引用:https://www.weblio.jp/content/%E8%87%AA%E4%B8%BB%E7%B7%B4
なんだか難しいですね。大事なことは「指導者がいないとき」「練習時間でない時」「自発的」この三つが大事そうです。(以後自主練の3要素)
僕のチームは初心者9人が揃って、本当に弱かったです。だから「自主練をしなさい」と言ってきましたが、これがなかなかうまくいきません。
自主練を行うようになるまでに1年半かかりました。その中で彼らからいろいろ学ばせてもらったことがあるので、ここでご紹介していきたいと思います。
大事なことは「指導者がいないとき」「練習時間でない時」「自発的」をいっぺんにやろうとしないことです。
自主練をしない…ならばまずは「練習時間でない時」から改善。ある指導者の教え「強制から自主性は生まれる」
本当に子どもが自主練をしないので、かなり悩んでいました。そのときに別の指導者の方に相談してみると
「自主性というのは強制から生まれるもんだよ」
とのことでした。何だか、雷に打たれたような気がしましたね。
先ほどの自主練の3要素のうちの「練習時間以外の時」に注目するわけです。僕は昼過ぎに練習が終わった子ども(キャプテンと副キャプテン)に対して、
「よし、お前らちょっと強制で練習」と言います。もちろん昼ご飯やアイスなどのエサもやりました。笑
3人でティーバッティングに取り組みます。子どもたちは半分いやいややっていましたが、何度も続けるうちに練習時間以外に練習することが「当たり前」になっていました。
また、キャプテンや副キャプテンというチームに影響が大きな子どもを選んだのが効果的だったのか、エサがほしかったのか、少しずつ他の子どもたちも「練習後練習」に参加します。
だんだんそれがチームに浸透したころには、練習+練習が当たり前になっていました。もちろん、個人の予定や「休みたい」は最優先させます。
また、僕がいるので子どもも半ば強制的でしたが、この第一歩が重要だったように今は感じます。さらに、子どもは自主練の方法を知りませんでした。何をすればよいのか、何をすべきかが分からないのです。
だから自分の課題に合う、自分のペースでやれる練習を「最初は」指示してあげていました。

ぶっちゃけ最初は「練習後にからあげが食える」という話を聞いて参加しましたね。いつもではないですけど。

エサが効果的だったのか…キャプテンと副キャプテンは本当に強制だったから、ちょっとかわいそうだけど。一番あいつらが成長したからな。
自主練をしない…次に取り組むのは「指導者がいないとき」
次に改善するのが「指導者がいないとき」です。
僕は自主練をしない子どもを自主練をする子どもに変えるため、「自分がいない状況」を創り出しました。
どうするのかというと、「練習後練習」はすでに定着していたので(もちろん全員ではなかったですが)、僕がふらっと消えるのです。
遠くには行きませんが、グランドの隅っこで草刈りをしたり、ちょっとコーヒーでも買ってぼーっとしてみたり…
なるべく子どもの目に入らない場所を選び、「監督がいない」状況を作り出します。そうすると、面白いように子どもたちは遊び始めました。笑
もはや自主練というよりは、ただの野球遊び。だから遊びが盛り上がってきたところで再登場してやります。笑
別に何も言っていませんが、子どもは「やべっ」という反応になりました。あくまでも子どもがやりたいことをやらせているスタンスを貫きます。
ただ、それ以降心がけたのは、練習後のミーティングで「自主練に取り組む姿勢」については説明を何度もしました。
それを繰り返すうちに、遊ばなくなりましたね。短い自主練の時間でしたが、効果的に練習に取り組んでいました。ときどきアドバイスをしに行くこともあります。ただ、僕はほとんどの時間ぼーっとしていました。

俺の存在忘れてたろ?

最初遊んでいたときはマジでビビりました。そこにいるんですもん。

別に何も言わなかったがな。危ないことをしていたら何か言ったと思うが…

正直、存在感を出したときはプレッシャー感じましたね。

まあ、そういう意味でもまずは「強制から」なのかな?
自主練をしない…ラストは「自発的」に考えさせる
自主練といっても、最初の練習は自分たちがやりたい練習を、やりたい数だけやっています。しかもなるべく「楽なものを」彼らは巧妙に選び取ります。
でもせっかく「自主練をしない」ところから、最低限自主練をするところまで来ているのであと一歩です。あと一歩は「自発的」に自分の課題を考えて、課題に合う練習をすることです。
最初は自主練の内容を指示していました。(まさに強制ですね)子ども一人ひとりの課題を考え、理由も説明したうえで自主練に取り組ませます。
「指導者がいないとき」を作るあたりから、あまり内容を指示しないようにしました。
すると先述したように、一度効率的な練習からは遠ざかってしまいます。それでも、粘り強くミーティングで指導するうちに、だんだん自分たちで考えて練習するようになりました。
おそらくそこにあったのは、「自主練をすることによって結果が出る」と感じたからです。やはり結果が出るから練習が楽しいのです。結果が出るからこそ欲望が出てきます。
そりゃ時間かけてやれば少しずつ結果は出ますよ。
ただ大事なのは、「自主練のおかげ」と錯覚させること。(「お前のこの前の自主練が活かせたんじゃないか?」など)
そうしているとだんだん子どもから、自分が何の練習をすべきか聞いてきます。(最初はキャプテンにわざと聞かせました)
周りの子どもはちゃんと、他の子どもが何をしろと言われたか聞いています。中には一緒に練習する子どもも出始めました。
何度もやれば、それだけ方法も覚えるし勝手に自分たちの解釈で練習を「楽」にしたり「苦」にしたりします。
でもそれこそ「自発的」な練習ではないでしょうか。最初は強制的にさせていた練習が、いつの間にか「自発的」にするようになりました。
だからこそ僕は子どもが自主練をしないのであれば、ガンガンプレッシャーはかけるべき、と思うのです。
まずは一緒に横にいて、方法を教えます。練習+練習をやることが定着し始めると、次は自主練に向かう姿勢づくり。
最後に自主練の内容について。これをするのに1年半かかります。でも子どもが少しずつ変わる様子を楽しみながらやったので、意外と楽しかったですね。
自主練をしないところから、いきなり自主練をバリバリやるのはかなりきついと思います。
最初は、お尻を叩きながら、お尻を叩くフリをして、次に背中を押してあげて、背中を押すフリという流れで、長期的に見てあげましょう。

監督がそこまで深く考えていたとは!!

あくまで「自主練」だからな。難しかったよ。ほんと。

今では、時間があるやつはほとんど自主練してますもんね。

まあ、前半はしっかり。後半はちょっとダラダラしてて意味がないけどな。あえて何も言わん。

う…
自主練はしないけど、強くはなりたい。天才以外そんな道あるか!:まとめ
自主練をしない子どもをいきなり変えるのは不可能。自主練の3要素「指導者がいないとき」「練習時間でない時」「自発的」を分けて考えましょう。
- 「練習時間でないとき」:強制的に横について練習後に練習させる。(時にはエサで釣る)
- 「指導者がいないとき」:自主練中に気配を消す。非効率的な自主練を始めたら気配を表す
- 「自発的」:最初は自主練の方法が分かっていないので教える。結果が出始めたら自発的に「楽」な練習や「苦」の練習をやり始める。長い目で見ることが必要。