野球選手にとって、一番しんどいシーズンはオフの冬にやってきます。
基礎体力づくりや身体づくりのため、文字通り血のにじむような練習の日々を地獄のように感じるでしょう。
では、なぜ指導者はしんどい練習を冬に行うのでしょうか。
今回は、今苦しんでいる選手たちに、指導者目線で分かりやすくその理由を説明します。
冬の練習はほんとうにつらいんです。。。
いやだ。ついにきつい冬練が始まる。もう嫌だ。野球は何で冬に基礎練と身体づくりばかりするんだろう。
いや、まあ気持ちはわかるよ。練習指示するこっちだって冬練の基礎・身体づくりには、毎年涙を流してきたからさ。
そもそも何で冬練は、普段の野球とは違った練習をするんですか?
わかった。じゃあ今回は、お前たちが納得して練習に取り組めるよう、指導者が冬練をどう考えているかを教えよう。
納得できなかったら、冬練はしないと約束してくれますか?
よし。約束しよう。
野球経験者ならば、冬の基礎・身体づくりに絶望し、涙を流したことがあるでしょう。
できれば思い出したくない方もいるのではないでしょうか。
この冬の練習。指導者は、個人の力にフォーカスし、簡単に能力を上げられる期間だと捉えています。
指導者にとって冬の練習は、選手一人ひとりのことを気にして、野球以外のことにも時間を使える黄金の期間と思っています。
選手にとっては地獄ですが、冬の練習で行う基礎練習・反復練習・身体づくりメニューを考えることが、指導者の腕の見せ所です。
今日は中での練習でした⚾️
地味な練習にも一つ一つ意味があります。それを意識して練習することが個人のレベルアップに繋がると思います。冬練の間に個人の技術を上げれるように意識を持って取り組みたいです❤️🔥✊🏻
#高校野球 #高校球児 #冬練 pic.twitter.com/mPtGKlI5yB— 京都府立北桑田高校硬式野球部 (@ktkwdbaseball) December 22, 2022
指導者目線で答える。なぜ冬の練習は身体づくりをやるのか
指導者から見て、冬は「個」に焦点を当てやすく、それが能力・チーム力のアップにもつながります。
また、能力の向上のための最短経路は筋力の向上です。
冬を制す者が夏を制します。
暖かい時はチーム作り、寒い時は選手作り
暖かい時は実践形式のチーム作りを行う期間で、寒い時は普段取り組みにくい選手作りの期間です。
暖かい時はボールを扱えるので、ノックでチーム全体の動きや個の守備力を鍛えます。
しかし、個の守備力といっても一人にさける時間は少ないです。
バッティングや走塁も、場面を想定したものも行うし、それこそ実践形式のものを練習します。
選手一人ひとりの動き方や筋力アップ・持久力アップにとことん付き合う時間があります。
意識の高い選手は、放っておいても勝手に自分をしごくので、サボりがちだったり、もう一つ何か足りない選手の指導にあたれるのです。
身体づくりは簡単に能力を上げられる
筋力や持久力の向上は、そのままボールを速く投げる力だったり、遠くに飛ばす力に直結します。
「こういう風に投げる」「こういう感覚で捉える」
感覚的なものを身につけるよりも、筋力アップをさせる方が能力向上には手っ取り早いんですよね。
以前、初めて野球をやるガタイの良い子が、野球歴2年の子どもの3倍は打球をぶっ飛ばしていたのを見てこれを痛感しました。
身体づくりは一年中行うべきことですが、とくに冬の練習ではチーム練習がない分集中して取り組めます。
バッティング練習で30球打つのに10分かけるよりも、同じ時間で腕立て伏せ100回した方が打球を飛ばすのには適した練習です。
(もちろんバッティング練習をしないと筋力の活かし方は分かりませんので、「それが気になる」という方は下の記事をどうぞ。)
野球以外の動きで身体をつくる
野球以外のスポーツ(サッカー、バスケットボールなど)をやることで、普段使わない筋肉を使えます。
野球だけでは、使う筋肉に偏りがでます。
筋肉は全体のバランスを取りながら鍛えないと、うまく成長しません。
そこで、時間的余裕のある冬の間に、いろいろなスポーツをやって使っていない筋肉を刺激させます。
一球たろうは、サッカー、相撲、タグラグビー、バスケットボールを週1回のペースで冬の練習に取り入れていました。
ボールも身体もかたくなる
冬の寒さによってボールがかたくなり、デッドボールが通常の倍痛くなります。
大袈裟な話、硬球とプラスチックボール、どちらの方が怪我をしやすくなりますか、ということです。
さらに言えば、寒いと身体も動きにくくなり、かたくなります。
身体がかたいと、これまた怪我の可能性があがります。
選手の怪我や安全管理は、指導者として最も気にすべきことの一つです。
二番手を育て、チーム力アップ
選手一人ひとりに関わる時間が増える分、2番手を育てられるのも冬です。
エースが一人いて、夏でも連投させるのはもはや昔話。
今は、エース級が2~3人が必要で、冬にはチームの底上げのために2番手・3番手を育てます。
当然投手だけの話でなく、野手においても2番手を育てられます。
2番手を育てる上で、まずは身体づくりを行い、少しでもレギュラーを脅かす存在になってもらうと万々歳。
何なら、レギュラーをこえるくらいの存在になってほしいです。
人数の少ないチームでは、2番手が下級生であることが多いので、少しでも上級生に追いつくようにしておきたいものです。
冬は2番手の育成期間でもあります。
単純に暗くて野球ができない
どこのチームでも夜間照明があるとは思わないでください。
もし自分のチームに照明があるのなら、それは恵まれている野球チームである証明です。
暗くて、ボールは扱えない。だから身体づくりという事情のチームも多々あります。
一球たろうが最初チームを編成したとき、そのようなチームでした。
いずれにしろ1年生の初心者ばかりだったので、ここぞとばかりにトレーニングしました。
と、言うのが監督目線の冬練だ。
結構深く考えてるんですね。単純に寒いし、怪我するかもだしでトレーニングばかりやらされているのかと思ってました。
ただ、トレーニング系は楽をしようと思えばいくらでもできる。結局は自分の意思次第のところが大きいな。
受験では「夏を制する者が冬を制す」なんて言われますが、野球では「冬を制する者が夏を制す」ということですね。
そうだ。だから、きついことは百も承知。俺たち指導者は、その先にある成功体験があるから、きついトレーニングを課すんだよ。
どうせやるなら、とことんやる。楽しんでやる。冬の練習の取り組み姿勢としたいですね。冬が終わるころ、下に紹介した記事を見てみてください。
なぜ冬の練習は基礎体力・身体づくりばかり?指導者目線の回答6選!:まとめ
指導者目線から回答する、基礎体力・身体づくりの冬を過ごす理由がこちらです。
- 寒いときには選手作りに専念
- 簡単に能力が上がる
- 野球以外の筋肉を使わせたい
- 怪我防止
- 2番手の成長=チーム力アップ
- 単純に暗くてボールが使えない
結論。冬の練習はさぼらず、きついことを楽しむくらいの気持ちでいましょう。