2022年から選手の身体の負担を軽減するため、学童(少年)野球における新ルールが追加されます。
全日本野球連盟から出された通知を見ると、思った以上のルールの大変更がありました。
新ルールの中身だけでなく、そこから考えられる戦術についても考察しています。
イニングの変更は結構大きいですよね…

監督歴10年の一球たろうがご紹介します。
2022年に少年野球のルールが変わる!?その中身とは

よーし!集合!今回は新しいルールについて説明するぞ!

はい!(どうせ定期的にある「ボールが変わる」とかだろうな…)

細かいものもあるが、とりあえず一番でかいのは「イニングが変わる」だ。

イニング数が変わる!?それかなり大きくないですか!?

戦術も大きく変わるだろうな。今日はそこも含めてみんなで考えたいと思う。
学童(少年)野球のルールが2022年に変更されるようになりました。
導入されるルールがこちらです。
新ルール | 取り扱い | 導入対象 |
6イニング制(時間制限1時間30分) | 6イニングだが、1時間30分経過後は均等イニング完了時点で終了 | 2022年より全国一律 |
ホームベースサイズ拡大 | 一般用サイズを採用 | 2022年は全国大会のみ採用
2023年より全国一律 |
いずれのルール変更もかなり大きな変更と思われます。
どのルール変更も、大きな目的は選手の負担軽減のためです。
また、ホームベースサイズ拡大していますが、バッターボックスについてはこれまでの規格です。
ただしホームベース拡大に伴って、これまでのバッターボックスの位置からは、少しずれています。
新ルールのイニング数減少にともなう戦術
では、ここからは新ルールの変更による、先述を考察してみましょう。
今回のルール変更により投手の負担は軽減されます。まずは、その影響について解説します。
予想される影響
イニング減少による影響を、守備面と攻撃面に分けて考えてみます。
守備面
イニングが7回から6回に減少されたことによる、守備面における影響が以下になります。
- 投球数の減少
- 完投数の上昇
- 継投の場合、交代するイニングが早くなる
- クローザー(抑え投手)が重要に?
ちょっと面白いな、と思うのが「クローザー」の戦術が使いやすい状況になったことです。
これまで継投するなら、先発投手をギリギリまで引っ張って5回や6回で交代するパターン。
ただ、6回にイニング数が減少したことで、5回まで持たせることができれば、クローザーが投入できます。
もし一日2試合ある場合、このクローザーを次の先発にもしやすいですね。
攻撃面
攻撃面は全体的にマイナスの影響が出そうです。
- 1点の価値の上昇
- 速い球・慣れない変化球への早期対応
ピッチャーの故障防止のためのルール変更であるため、基本的に投手はフレッシュだと考えます。
と、すると単純にイニング数が減ったことで、1点の価値が上がります。
しかし投手がフレッシュであるため、早い対応を求められますし、その中で1点をもぎ取らなければなりません。
なかなか打者にとっては大変なルール変更ですね。
だからこそ、練習を大事にしつつ手っ取り早く道具によって打てるようにすることも一つの戦術でしょう。
↓の記事で紹介するバットで、一球たろうはホームランを2日に1本打てるようになりました。

イニング数減少による効果的な戦術
守備面において考えられる戦術がこちらです。
戦術 | 理由 |
立ち上がりの悪い投手は危険 | 1点が重要に |
相手投手が好調であれば、早いイニングからの前進守備 | 1点が重要に |
速さ・変化のキレをより重視 | 打者の目が慣れる時間が減っているから
スタミナ切れを起こしにくい |
基本的に1点を取られないための守備体勢を引きたいですね。
そう考えると、これまで同様に四球・エラー・連携ミスをなくす重要性も分かるはずです。
打撃面において考えられる戦術がこちらです。
戦術 | 理由 |
足を絡めた攻撃
※記事最後にはとんでもない内容があります |
投手を打ち崩しにくくなっているので、打撃以外の攻撃性を持つ |
ランナーを進めるバッティングの習得 | 投手を打ち崩しにくくなっているため |
つなぐ打線よりも長打力に重きを | 1点の重要性が向上しているため |
なるべく「裏」のイニングを取りたい | サヨナラ勝ちのチャンスがこれまでより早く訪れる |
こちらもやはり、1点を取りにいく戦術が増えると思いますが、これについては、チームによってカラーが変わるでしょう。
足を絡めることもあるし、バントしてとにかく得点圏にランナーを進めてプレッシャーをかける場合もあります。
スモールベースボールが重要視されそうですが、一方で長打力のアメリカンな野球も重要になっています。
「みずもの」と言われるバッティングを鍛えることは、本当に一筋縄ではいきません。

時間制限による影響と戦術
時間制限のルール変更により、これまた少年野球は大きく変わりそうです。
まずはその影響を見てみましょう。
予想される影響
試合時間が1時間30分になったことによって、試合そのものや、その日一日の調整にも影響が出そうです。
- 試合開始予定時間にあわせて調整・アップがしやすい(とくに夏場はありがたい)
- どちらか一方のチームの攻撃が長くなるとイニングがより短く設定される
夏場に試合に備えてアップしている場合、前試合の延長戦は本当に調整が難しくなります。
何といっても暑さに選手があてられてしまいますからね。
時間制限についてはこれまで経験している人も多いため、イニングが短くなることは想像できますよね。
これにより、戦術はチームによって変わりそうです。
時間制限による戦術
どのように得点を重ねるか、または勝利しようとするかによって、戦術は変わりそうです。
守備が得意なチームは、とにかく守ることと1点を取るため(先述したような戦術)の作戦が良いでしょう。
また攻撃においては、なるべく時間をかけるため、投手に多く投げさせるため球を選ぶ方が良さそうです。
一方攻撃が得意なチームは、とにかく1回のチャンスを掴むと、そのイニングで時間をかけたいです。
流れが来ているようであれば、バントやエンドランなどは使わず、強硬策が効果的かもしれません。
ホームベース拡大は圧倒的に投手有利に
新ルールにより、ホームベースがこれまでの少年野球用サイズから一般用サイズになりました。
この影響と戦術を見ていきましょう。
影響
考えるもなく、ホームベースが大きくなったことは投手に有利に働きます。
- ストライクゾーンが拡大
- 少年用バットでこれまでより数cm遠いアウトコースを打つ必要性
- 試合のスピード化
ホームベースの両端からバッターボックスの距離(13cm)は変わらないので、アウトコースのみに影響が出ます。
また、これまでギリギリ「ボール」と判定されていた球が「ストライク」になることで、試合が早く終わります。
ホームベース拡大にともなう戦術
少年野球用のホームベースから一般用になったため、投手における戦術に差が出そうです。
先述 | 理由 |
アウトコース主体のピッチングに | バッターが慣れていない上、小さい子にはとくに弱点に |
打者は引き付けて打つバッティングに | アウトコース主体の配球への対応 |
アウトコース高めの活用 | 少年野球ではアウトコース高めを押し込む力がない子も多い |
アウトコースはバッターにとって最も力を入れにくいコースです。
ただでさえ身体ができていない少年野球の選手にとって、アウトコースの拡大は致命的なルール変更にもなり得ます。
きちんと引き付ける打つことや体力をつけることに練習の重きを置きたいですね。
アウトコースの打ち方はこちら。右バッターでも応用できるものがあります。


基本的には守備にとって良いことが多いルール変更なんですね。

投手の負担軽減って全軟がうたっているくらいだからな。これからは守備中心のチームが増えるかもな。

守って、守って、1点を取って勝つ…か。でも俺は打つ方が好きなんですよね~

1点の重さがでかいってことは、つまり打てるチーム有利とも考えられる。ただし、なるべく早くに打ち崩せないといけないな!

学童の野球が大きく変わりそうですね!

2022年から導入されるのは、これまで紹介したものだが、今後とんでもないルール変更もあるかもだぞ!
本日12/10放送「少年野球“盗塁禁止”に波紋」
全日本軟式野球連盟は、少年野球で盗塁禁止のルール化を検討しています。
盗塁は1試合に3~5回まで。
パスボールでの進塁はなし、ということです。
盗塁を禁止にするか、これまで通り盗塁はありにするか意見が分かれています。 pic.twitter.com/DYZojZvBpq— 羽鳥慎一モーニングショー (@morningshow_tv) December 10, 2021
2022年学童(少年)野球に新ルールが登場!中身や戦術について解説!:まとめ
2022年の少年野球から、ルールが大きく変わります。
- 6イニング制(1時間30分の時間制限)
- ホームベースの拡大
全体的に守備、または投手に有利なルール変更です。
戦術的にも、1点の意味の重みが感じられる戦術がハマる可能性が高くなります。
チームによっても色が分かれそうです。また、指導者であればしっかりルールを把握しておきましょう。
