野球は「冬の走り込み」が尋常ではないほど、きついスポーツです。
しかしその「尋常でないほど」の走り込みには、無駄があるかもしれません。
そもそも走り込みの意味とは?メニューのどれくらいを占めるべきなのでしょう。
中学生に実践させていた効果的で無駄のないメニューを紹介します。
野球指導歴10年の一球たろうがご紹介します。
野球選手冬の名物「走り込み」の効果とよくある無駄
あ~新人戦も終わったし…カップ戦も終わった…ついにきたか…
走り込みの冬だな。笑
もう…ほんと…何を思われようとも僕は言います。冬は嫌いです!
気持ちは分かる!でもこの季節だからこそできるメニューでもあるんだ!冬を制す者は…
「夏を制す!」ですよね!分かっています!走ればいいんですよね!?
まあまあ。そう開き直るな。確かにいろいろなチームの練習を見ていると「無駄では?」と思えるものもある。その辺を解説しよう!
野球をやっていると、とにかく嫌で嫌でたまらないのが冬の走り込み。
いつ陸上部になったのか、と思ってしまうほどひたすらきついメニューのオンパレード。
走り込み→ウェイトトレーニング→体幹トレーニング→素振り…ああ。思い出して泣きそう。
とくに一球たろうが嫌いだったのが走り込み。
走ってていつも思うのは「走り込みって効果あるん?こんなにしんどいこと試合中にないやん…」でした。
指導者として色々勉強して思いました。走り込み…とても大切です。
走り込みの効果は試合のためだけではない
走り込み。短距離は意味が分かりますが、長距離になるとその効果がどれほどのものなのか疑問がつきます。
走り込みの効果がこちらです。
- 試合中にバテにくくなる(とくにピッチャー)
- 練習でバテにくくなる
- 回復力が増す
- 脚力がつく
パワプロで選手を育てる時、最初の4月怪我しないのをいいことに、ランニングしまくって体力ゲージ増やしますよね。(最近のはよくわかりませんが)
結局走り込みは、厳しい練習を耐えるための体力づくりをしているのです。
つまり良い意味での「練習のための練習」ですね。
しかも回復力も増します。ちょっとやそっとの練習では、へこたれない身体になるのです。
走り込みが無駄だと思えるときがある
走り込みは野球において、重要であり、冬にこそたくさん取り組めるメニューです。
しかし、「毎日10km走る」「この冬は1万km走ろう」などという、無駄なメニューを聞きます。
これは走り込みのみに時間を割きすぎて、他の大事にすべきフィジカル系メニューが行えていない典型例。
あくまでも、基礎体力を上げるものであり、野球選手をマラソン選手にする必要はありません。
長い距離を走って野球が上手になるのであれば、メジャーリーガーはすべてマラソン選手になります。
走り込みの効果を見定め、目標を明確にしておきましょう。
走り込みで目標を与えるために
走り込みは本当に子どもが嫌がります。当然、一球たろうも嫌いでした。
しかも大会が近いわけでもないので、冬の時期はどうしても練習で目標を見失いがちです。
そこで走り込みの目標を失わないように、中学校の指導者の一球たろうは野球部を駅伝に出していました。
それこそ「陸上部では?」と言われましたが、メニューは後述するように、練習のためです。
あくまでも駅伝出場は、走り込みのモチベーションアップのため。
とは言っても、その地区で20チーム中3位になり、次の大きな地区の大会に出場しましたが…
無駄なく効率的な走り込みのメニュー
では、駅伝出場も目標を掲げつつ、どんな走り込みのメニューを行ったのか紹介します。
ついでにどのメニューも、一回の実施につき30分~1時間程度の練習時間です。
そのため練習時間が2~3時間程度しか取れない、中学校の部活でも、十分これ以外の練習に取り組めます。
これは一番オススメ!1km走
もはや長距離というよりは、中距離選手のための走り込みメニューです。
1kmをどれだけ速く走れるか、と毎日記録を残していました。
目安は3分台で走られれば、そこそこ走れる選手です。
とくにピッチャーはこのタイムを目指すよう指導しましょう。
長距離を無駄に走らされている、という印象を選手はいだきにくくなります。
これを一回につき、3~5本。
最高合計5km走ることになりますが、インターバルを入れたとしても30分程度の練習時間です。
7分間走
文字通り、7分間の走り込みです。これを3本しても30分かかりません。
なぜ7分なのかというと、これは中・高生の1イニングあたりの守りの時間の平均に合わせているからです。
ピッチャーは、この7分の間投げ続けなければなりません。
意外と投げ続けるのって、体力がいるんですよね。もちろん、野手もその間はメンタルが削られます。
その時間間隔を身に着けさせるために、7分間走り込みを行うわけですね。
ボクサーなどもラウンドの時間にあわせて、メニューをローテーションさせます。あれと同じです。
ついでに試合前ノックが7分間なのも、これが理由だと言われています。
塁間50本走
長距離の走り込みは、結局有酸素運動を長くするということ。
ならば、野球で最も使う短距離走を、連続で行っても十分有酸素運動になりますよね。
どうせこれだけの本数走り込むなら、このことに注意しましょう。
- 走る姿勢
- 加速のさせ方
- 塁間のおおよその歩幅
目的が有酸素運動であるならば、タイムはさほど気にしなくて良いです。
ただし、一度の練習で効率的に取り組むのであれば、上記のことには注意して走らせましょう。
目的を忘れないようにし、決してタイムが遅いからと叱ることはやめましょう。
たまには5kmの長距離走を
もちろん走り込みの代表格、3km~5kmの長距離走もまったくの無駄ではありません。
5km走ったとすると、一般的な生徒のなかでも「ちょっと」速い選手で20分前後で走ります。
有酸素運動の継続性や身体への負担と考えると、連日はただの負担でしかないので注意してください。
もっと他のメニューに時間を割くべきです。
ただし、やはり長い距離を走ったという自信をつけることが可能です。
冬は恐ろしい時期だぞ、と印象付けるにはうってつけのメニューでしょう。
どうせやるなら、次の日は休日という日に、10kmくらい走らせても良いかもしれません。
走り込みメニューを素人集団で実践したところ…
一球たろうが見ていたチームは、チーム13人の内の9人は中学校から野球をはじめた素人集団。
しかも、それ以前のスポーツ経験はほぼなし、が集まったチームでした。
そこで、これまでに紹介した走り込みメニューを実践すると…
- 駅伝で20チーム中3位
- 駅伝で区間賞まではいかないが区間2位の選手が2人
- 春にはほぼ「激しい筋肉痛知らず」の身体に
- 50m走が最大2秒縮まった選手も
- 上の選手は体重が15kg落ちた(要するに元が…)
走り込みは、もっとも結果が出やすい練習メニューだと思います。
何を狙った走り込みなのかを考え、ただ走らせるだけの無駄なメニューは避けましょう。
走り込みもきついんですけど、監督のメニューで一番しんどいのは素振りですよね…
まあ、素振りとキャッチボールは死ぬほどすべき、というのが俺の考えだからな。
冬は死ぬほど走らされた後に、死ぬほどバット振らされるから、これも嫌なんだけど…
何か言ったか?
いえ!何も!!(これってパワハラじゃ?)
【野球選手専用】走り込みの効果的で無駄のないメニューを4つに厳選:まとめ
冬の練習に走り込みは必須です。
練習のための練習になる視点を忘れてはなりません。
また、無駄にダラダラと長い時間・長い距離を走らせるよりも、より効果的で効率的なメニューがあります。
あくまでも陸上部ではなく、野球選手としての走り込みを徹底しましょう。
走り込み以外にも、冬場にやるべきとレーニングはたくさんあります。