この記事では、キャッチャーのフレーミングのコツを3つ紹介しています。
「ボ…ストライク!」キャッチャーが最高のフレーミングを見せれば、審判はこのようにコールします。
フレーミングの技術を向上させる上で基本的なコツは「ミット移動」「三角形の構え」「身体の真ん中」です。
有名プロ野球選手の動画も見てみましょう。
野球指導歴10年の一球たろうがご紹介します!
フレーミングの意味と効果
監督!昨日のプロ野球の最後のあの一球!絶対にボールでしたよね!?
まあ、お前の気持ちも分からんでもないが、あれはストライクと言ってしまうのも分かるなあ…俺も試合で審判やってるし…
監督もよく「一球を大事にしろ」って言うじゃないですか。審判にも真剣にやってほしいものですよ!!
まあまあ落ち着け。あの最後のプレーで試合を決めたのは、キャッチャーの技術の高さが出たからなんだ。
キャッチャーですか?あのプレーでは、何もしていませんよ?
いや、キャッチャーはピッチャーのボールをキャッチングしてるよな?そこに大きな技術が隠されているんだ!
キャッチャーをやっていると、どこかで「フレーミング」という言葉を耳にします。
「フレーミング…フレーム…」と考えると、ストライクゾーンのことがなんとなく頭に浮かびますよね。
そのストライクゾーンは打者によって高さは多少変わりますが、そう大きく変わるものではありません。
そして審判は自身のゾーンを持って、ストライク・ボールを判定します。だから、明確な基準があるのです。
しかしフレーミング技術があれば、その審判のストライクゾーンを大きくさせることができます。
フレーミングとはボールをストライクにさせること
フレーミングを簡単に言うと「ボールをストライクのように見せる技術」です。
以前はキャッチングという言葉のみでしたが、今はキャッチングも含めてフレーミングと言うことがあります。。
「ボールをストライクに!?そんなことしてもいいのか!?」と思えますが、立派なキャッチャーの技術です。
完全なボールは無理にしても、ぎりぎり外れるくらいのボールなら、フレーミングで「ボ…ストライク!」と言わせられるでしょう。
例えば2アウト満塁で、1ストライク・2ボール。次の一球のストライクの重みってかなり違いますよね。
フレーミングができれば、本来1ストライク3ボールになる一球が、2ストライク2ボールにできるということです。
フレーミングの効果をまとめると
キャッチャーがフレーミングを使う効果は3つあります。
- 試合を有利に展開させられる
- ピッチャーの安定感・安心感につながる
- ストライクをボールと判定させない(不利な試合展開にさせない)
ピッチャーにとっては、多少ボールになってもストライクと判定されるわけですから、投球にリズムが生まれますよね。
また、意外と大事なのが、三つ目の本来ストライクの投球がボールと判定されないことです。
もしストライクがボールと判定されると、当然試合は不利になるしピッチャーもリズムを崩します。
「試合を有利に」だとちょっとずるい印象がありますが、「試合を不利にさせない」ならフレーミングの重要性に気付くはずです。
キャッチャーに身に着けるべきフレーミングのコツ
キャッチャーは「扇の要」つまり、ゲームメイカーです。
試合を有利に運び、不利にさせないフレーミングのコツを身に着けて、よりゲームを支配できるキャッチャーを目指しましょう。
コツは「最小限の動きとその準備」です。
ミットを移動させない
ミットを移動させないで捕球するコツは2つです。
- ピッチャーの手からボールが離れた瞬間に捕球位置を予測しミットを構える
- そこからなるべくミットを動かさないことです。
つまりある程度以上、ピッチャーの投げる球を把握しておかなければなりません。
フレーミングが上手なキャッチャーほど、捕球位置にミットが来るタイミングが早いです。
こうすることで、審判に「狙い通りの投球をさせたんだな」と思わせることができます。
よりレベルの高い技術の一つには、ミットの芯をはずれてもミットを動かさないというコツもあります。
これは後述するメジャー選手のフレーミングに見て取れる技術です。
三角形をイメージして構え、捕球する
逆三角形と三角形、みなさんはどちらの方が安定感・安心感を覚えますか。当然三角形ですよね。
どっしりした構えは、無駄な動きが出にくくなります。
先述したミット移動もそうですが、フレーミングはとにかくキャッチャーの動きを最小限にすることがコツです。
- 逆球でもなるべく、ミットの移動だけで対応
- 胸を張って構え、捕球時にブレないように
そうすることで、審判に「大きく外れてはいないんだな」という印象を抱かせることができます。
キャッチャーの構えは、こちらの記事が参考になると思います。
身体の真ん中をボールの外側に
キャッチャーが右バッターのアウトコースに構えて、少し際どいコースにボールが来たとしましょう。
このとき、なるべく早いタイミング(さきほどのミット移動と同様に)で、ボールの外側(このときは向かって右側)に身体の真ん中が来るようにします。
こうすることで、審判からはミットがベースの近くに見え、ストライクと判定されます。
実際のプロ野球選手も使っていた技術で、比較的簡単に実践することができるコツです。
身体でボールをストライクゾーンに引っ張り込むように
先ほどのコツとは、まったく真逆のフレーミングです。
- 捕球前は身体の真ん中をボールゾーンに
- キャッチングと同時に身体をストライクゾーンへ引っ張り込む
- 捕球と同時にピタッと止まる
このフレーミングの方法は、フレーミングという概念が出るもう少し前の「キャッチング」の技術とされていました。
とくにアウト―コースに外れたボールを、ストライクに判定してもらう上で効果的です。
フレーミングを実践するときの注意点
さて、キャッチャーが実践すべきフレーミングのコツを早速やってみよう!…というところで、ちょっと待った!
フレーミングを実践する上での注意点を守らないと、せっかくコツがわかったのに逆効果になることもありえます。
欲張るな!フレーミングが逆効果に!
フレーミングと聞くと、どうしてもボールをストライクにしようとして、捕球した位置からストラークゾーンにミットを移動させようとします。
このフレーミング…超最悪のパターンです。
後述しますが、審判にかなりの悪い印象を与えてしまい、フレーミングの効果とは反対方向にゲームが転がります。
とにかく「ボールをストライクに」ではなく、「ストライクを確実にストライクに」を意識しましょう。
審判の判定を尊重する
以前一球たろうは、実際に審判をやっている方からこんな話を聞きました。
あまりにもわざとらしくボールをストライクにしようとすると、警告を与える
フレーミングは、ある意味審判の判定への挑戦状とも受け取られます。
と、なるとミットの過度な移動や身体のズレは、審判への悪い印象につながりますよね。
もちろん審判もあくまで審判なので、公正なジャッジをします。とは言っても、人間であり、感情を持っているのも確かです。
また、こんな話も聞きました。
ストライクだと思って抗議しているのか、ミットをしばらく動かさないのも、非常に印象が悪い
キャッチャーの気持ちも分からなくもありません。
しかし、まだビデオ判定が導入されていないアマチュア野球では、過度なフレーミングが逆効果を生むこともあります。
過度なフレーミングということは、下手くそなフレーミングだと心得ましょう。
フレーミングが上手いプロ野球選手に学んでみよう
プロ野球選手のキャッチャーのなかでも、ずば抜けてフレーミングが上手い選手を見てみましょう。
3つのコツ「ミットの移動」「どっしりした構え」「身体の真ん中」の視点で、見てみてくださいね。
キャッチャーといえばこの人
やはりキャッチャーの技術を語るにおいて、古田敦也選手を語らないことはできないでしょう。
すでに引退した選手ですが、キャッチャーとしての技術の高さは、現役選手顔負けの技術力を誇っています。
身体でボールをストライクゾーンに引っ張り込むフレーミングが多いですね。
またフレーミングにおいて重要な、どっしりした構えも非常に安定感があるように見えます。とくに動画の0分16秒あたりは、完璧にフレーミングで取れたストライクですね。
一方2分30秒のところのフレーミングを、もし小・中学生が使うと、ちょっと印象が悪くなるかもしれません。
現役最高峰のフレーミング技術
現役捕手において、中日の木下拓哉選手のフレーミングは必見です。
いやもう0分16秒のフレーミングなんて、ベストオブフレーミング賞をやりたいほどです。炭谷選手も驚愕とするほど。
古田選手のキャッチングに比べ、いわゆる「ビタ止め」のキャッチングで、まったくタイプが違いますよね。
ミット移動が最小限で、ほとんどムダがありません。
谷繁選手も木下選手を褒めており、「最近の選手はピタって止めるのが上手いよね」と語っています。
メジャーの選手はやっぱりバケモン
メジャーの選手ですが、ドジャースのオースティン・スコット・バーンズ選手のフレーミングは、無駄な動きが一切ないです。
ダルビッシュ選手がべた褒めするほどのフレーミング技術で、もうほとんど動いていないんじゃないかっていうくらい、無駄な動きがありません。
ミットの芯でない箇所で捕球していることがあるのが分かるでしょうか。
これもフレーミング技術の一つですね。
さすがに小学生や中学生にはおすすめできない技術ですが、一つのコツとして知っておいて損はありません。
フレーミングがうまくなるための練習
フレーミングをうまくするためには、筋力強化や動体視力の強化、そして根も葉もありませんが、慣れも必要です。
チーム練習では、慣れに重きをおいて、自宅での練習で筋力や動体視力を鍛えましょう。
ピッチャーの球の威力に負けないリストづくり
ピッチャーの球の威力に負けないように、リストを鍛え「ピタッ」と止められるキャッチングを身に付けましょう。
- リストカール
- 風呂場でのグー・パー
- 授業中のグー・パー
動画はマシンを使ったリスト強化の方法です。しかし、小中学生ならば、授業の時間や自宅の風呂場での時間を有効活用しましょう。
これだけでも十分リストは鍛えられるし、フレーミング以外の場面でも有効に働きます。
投球の捕球地点を予測する目を鍛える
動体視力には、周辺視力や深視力、瞬間視などの力がありますが、キャッチャーとして必要な動体視力は「深視力」です。
これは遠い場所から近い場所に移動する物体をとらえる視力のことで、まさに、捕球位置の予測に必要な視力。
この記事を書いていて思い出したのですが、上で紹介した動画は、巨人のキャンプでキャッチボール前にやっていたトレーニングです。
深視力を鍛えることで、きっとフレーミングの技術力向上も鍛えられます。
捕球位置を早く、正確に判断できますしね。
ピッチャーのボールの質の見極めと慣れ
「ミットを移動させない」「どっしりした構え」など、フレーミングのコツをつかむには、感覚的なものを養うことも必要です。
もしも投球練習でキャッチャーをするならば、積極的にその役を買いましょう。
ピッチャーの変化球の質を見極め、慣れておくこともフレーミングにおける重要な情報となります。
バッティングセンターのボールをすべてキャッチする強者もいますが、バッティングセンターでは、バッティングの練習をしましょう!笑
低めの投球をフレーミングする
フレーミングでとくに難しいのが、低めのボール球をストライクのように見せる技術です。
低めの投球に対して、とくに初心者キャッチャーは、上からかぶせるように捕球し、捕球位置よりミットが下がります。
これを低めでもなるべく手首を立てるように(親指を突き出すように)すると、低めの投球にも力負けしません。
低めをビタ止めできると、審判は「ストライク」のコールがしたくなります(一球たろう経験談)。
そうだな。何といっても、感覚的なものも大きいから、ビデオで自分のフレーミングをよく観察するのも良い手だろうな。
さっそく!今日父ちゃんのスマホでビデオを撮ってもらいます!
コツそのものは、特別な技術がないといけない、というわけではなさそうですね。
そうだな。何といっても、感覚的なものも大きいから、ビデオで自分のフレーミングをよく観察するのも良い手だろうな。
さっそく今日父ちゃんのスマホでビデオを撮ってもらいます!
3つのキャッチャーのフレーミングのコツでストライクが増加する!:まとめ
フレーミングとは、際どいボール球をストライクに見えるようにする技術です。
そのコツは「ミット移動」「三角形の構え」「身体の真ん中」の大きく3つで、フレーミングの基本は習得できます。
ただし、過度なフレーミングは審判の印象を悪くする可能性もあり、注意が必要です。
プロ野球選手のキャッチャーでは、とくに古田選手や木下選手、メジャーリーガーではバーンズ選手が参考になります。