スライダーの打ち方は、少しコツが必要です。何といっても、勝負球にするピッチャーが多く、空振りが取りやすい変化球ですからね。
では、スライダーは打てないのか?
決してそんなことはありません。打つべき高さや曲がる方向、変化幅を読み、打ち方のコツをつかめば必ず対応できます。
勝負球を打たれたピッチャーの顔、見てみませんか?
勝負球のスライダーに対応できたら、相手ピッチャーは投げる球がなくなるぞ!一球たろうのチームでは、このコツを実践して、三振率を2割減少させた選手もいた!
右投手と左投手のスライダーの特徴を知ろう!
スライダーを勝負球として持っているピッチャーは多いです。
キレのあるスライダーほど、速球と組み合わさると本当に「消えた」ように見えます。
このスライダーの打ち方を知る前に、まずはスライダーとはどんな変化球なのか押さえておきましょう。
また、自身が右・左どちら打ちで、そして相手ピッチャーが右・左どちら投げなのかも重要な要素です。
スライダーの特徴と曲がり方
スライダーには大きく、縦方向に曲がる「縦スライダー」と、横方向にすべるように曲がる「横スライダー」があります。
現在のジュニアや高校野球では、縦スライダーを投げるピッチャーが多いです。そんなスライダーの特徴がこちら。
- キレがある(急に曲がる)
- 変化幅が大きいとマジでストライクからボールに変化する
- 空振りが取りやすい
うーん。これは簡単に打てるものではなさそうですね…
しかし、どんな変化球でも結局は、打つポイントを通過するわけです。対策をきちんとやれば必ず打てます。
右打者から見た右投げのスライダー
まずは左右の打ち方、そして左右の投げ方別にスライダーを解析してみましょう。
右打者から見た右投げのスライダーには、「だんだん自分から遠くなりながら落ちる」という特徴があります。
つまり、縦スライダーであっても、相手が右投げである限り少しずつ自分から遠く(アウトコースに向かう)ということですね。
右打者から見た左投げのスライダー
右打者から見た左投げのスライダーは、さきほどと逆の現象がおきます。
つまり「自分に向かってきながら落ちる(インコースに向かう)」変化となるわけです。
後述しますが、実は右打者に対して左投げのピッチャーは、スライダーを勝負球として選択する可能性は低くなります。
単純に打たれる可能性が上がるからです。(詳しくは後述)
左打者から見た右投げのスライダー
一球たろうは左打ちです。そして自身が選手だったころ、この右投げのスライダーは「得意」でした。
左打ちから見た右投げのスライダーは、「自分に向かってきながら落ちる」変化球だからです。
タイミングさえ崩されなければ、右投げのスライダーは打つことができます。というか、タイミングを外されても、打てます。
先ほどの右打ちから見た左投げのスライダー同様、勝負球として使用されることは少ないです。
つまり自分のインコースに向かってくる変化球は、バットに「当てやすい」ため、あまり相手ピッチャーが投げてこない、と踏むことができます。
左打者から見た左投げのスライダー
一球たろうは、これが対左のスライダーが一番苦手とする変化球でした。
右・左投げの違いだけで、同じスライダーなのに、まったく違う変化球になるのです。
この場合、一球たろうから見て「自分からだんだん遠ざかりながら落ちる」スライダーになりますね。
もちろん苦手ではありましたが、きちんとスライダー用の打ち方も持っていたので、カットできることもありました。
対策すべきスライダーの性質をしぼれる
自分の打ち方と相手の投げ方を見るだけで、必然的に打ち方を習得すべきは「自分から遠ざかっていく」パターンのスライダーであることが分かりますね。
もちろん「自分に向かってくる」スライダーの打ち方も、後述しています。
しかし、まずは自分から遠ざかるスライダーをなんとかしましょう。これで空振り三振をする可能性も、ぐっと減るはずです。
ストレートとスライダーの見極め
もちろん100%を保証するものではありませんが、ストレートとスライダーの見極めはカウントや投手のクセでできる場合があります。
カウントや状況でスライダーを見極める
試合の流れやカウント、ランナーの状況からスライダーの可能性を見極められます。
- 上位打者の勝負球(2ストライク)
- 上位打者の一球目
- ランナーなしまたは得点圏外
- 2アウト
上位打者にはやはり、打ちにくい球を投げたくなるものです。打たれるのを警戒して、一球目で投げる場合もあります。
下位打者の場合スライダーを投げるとしたら、三振を取りにいく場面でしょう。
スライダーはパスボールの可能性もあるため、得点圏にランナーがいると投げにくいです。しかし、2アウトだと、三振を取れば良いので投げてくる可能性が上がります。
投手のクセで見極める
かなり目が良くないと、見極めが難しいですが、投手のクセでスライダーを見極められる場合があります。
- セットに入ったグラブでゴソゴソ持ち替えている
- グラブから手が出た瞬間、手首の角度がストレートのときより反っている
大抵ピッチャーは、サインが決まる前にはストレートのにぎり(ツーシーム)をしています。
サインが決まったのちに、それをゴソゴソと動かすクセがあると、分かりやすいですよね。
また、ひっかくようにしてスライダーを投げる投手の場合、投球動作に入って、グラブから手が出た瞬間の手首がストレートより反っていることもあります。
スライダーの高さを見極めろ!
「ボール球を振るな」これを言われたことのない野球人はいないでしょう。
しかしスライダーはとくに「ストライクになる」と思って打ちにいったのに、スイングした瞬間は「ボールになっている」変化球です。
では、ストライクになるスライダーと、ボールになるスライダーを見極められれば、空振りする可能性も減るはず!
肝心なのは、ストライクゾーンを通過するときの高さの見極めです。
高さの見極めには投手の観察が必要
当然相手ピッチャーのスライダーがどれだけ曲がるのかは、見ておく必要があります。
試合前の投球練習は、しっかり見ておきましょう。
「プレイボール」のコールで試合が始まるのではありません。試合前の準備段階から、試合は始まっているのです。
そのスライダーの変化幅を見て、打ち方や考え方、狙い球を変えるべきです。
ストライクゾーン低めのスライダーは振らない!
そもそも低めのボールというものは、スライダーであろうと、ストレートであろうと打ちにくいものです。
スライダーの場合、投げ始めが低めのストライクゾーンの高さだと、確実にボールになります。
このボールで振ってしまうと…すんげえピッチャーが調子に乗ります。危険です。
低めのスライダーを「切り捨てる」という考え方を持ちましょう。
バッターが打ちにこない、となるとピッチャーの勝負球はボールとカウントされます。
はい。勝負球を封じることができました。
真ん中に向かってきたスライダーを打て!
プロ野球を見ていると、ホームランになるパターンの定石として、真ん中に「抜けた」スライダーを打たれるパターンがあります。
このときのスライダーは、投げ始めがバッターの肘の高さくらいでやってきます。
このボールは、思いっきり打ちに行きましょう。多少強引でも、引っ張りに行ってかまいません。
それだけの「超チャンスボール」です。
2ストライクからのスライダーの打ち方
特に縦スラは2ストライクからの勝負球に使われます。
2ストライク追い込まれている状況から、投げられるスライダーは効果絶大です。
しかし勝負球となるのは、先述したように「自分から遠くなるスライダー」になる場合が多い。
このことから考えると…
スライダーの打ち方の秘訣は流し打ちにあり
2ストライクからは打ち方を変え、スライダーを反対側へ打つ意識を持てば良いのです。
アウトコースの打ち方ですね。この時、真ん中のボールであっても、反対側へ打とうとしてください。
流し打ちを狙ったときに怖いのが、インコースにボールが来ることですが、自分から遠くなるスライダーの場合、インコースに決まることはなかなかありません。
身体に近いと、バットに当てやすいからですね。空振する確立がぐっと減るはずです。
流す打ち方ができれば、大抵のボールに食らいつけます。引き付ける必要があるため、手元までボールを見ることになり、いざとなればスイングを停止することもできます。
それでボールと判定されれば、スライダーを封じたも同然ですよね。
流し打ちに関しては、下の記事を参照してください。二つ目の記事の、井端選手の流し打ちは右打ちの方にとって、非常に参考になると思います。
グリップを下げる
よくバッティングで「ブリップを当てにいけ」と指導されることがありますよね。
あれはかなり道理に沿っていると思っています。グリップが向かう方向こそ、バットの軌道を決める重要な要素です。
縦に曲がるスライダーということは、低めに落ちるということ。
どれだけ真ん中に最初は向かってきたとしても、グリップをしっかり下げて(地面方向に向けて)スイングしにいきましょう。
キレの良いスライダーほど急激に曲がるため、スイングし始めのときにはまだ曲がり始めのこともあります。
スライダーを打つ!と決めたら、迷わずスライダーを打ちにいきましょう。つまり予想です。
それが実はストレートで、空振り三振したとしても、ピッチャーに「スライダーが狙われている」と思わせることができます。
これで次の打席はしぼりやすくなりますよね。
びびるな!逃げるスライダーを打つコツは踏み込みにあり
カーブしかり、スライダーしかり。この手の変化球の打ち方において、踏み込むことは最も重要なコツなのかもしれません。
何しろ、右打者対右投げ、左打者対左投げの場合、踏み込むことはもはや恐怖です。
しかし、自分から遠くなるスライダーを打つ最大のコツは、踏み込む事であることは間違いありません。
単純に自分の身体の近くにミートポイントを置くことができ、引き付けることもできるし、バットに当てやすくもなります。
と、すると2ストライク追い込んで、スライダーを投げる投手であれば、基本的な打ち方が決まります。
- 踏み込む
- 流し打ちを狙う
- 低めのスライダーは打たない
この三つですね。
自分に向かってくるスライダーの打ち方とコツ
比較的打ちやすい(当てやすい)のが、自分の身体に向かってくるスライダーです。
つまり、右打ち対左投手、左打ち対右投手のパターンですね。
この打ち方のコツは、引き付けて引っ張るように「すくいあげる」ことです。
低めのスライダーはアッパースイングの打ち方が最適
スイングにおいては、レベルスイングが良いとするのが現代の野球です。
もちろんダウンスイングにもメリットがありますが、さまざまな指導動画や現場の指導、近年の科学的な分析によると、レベルスイングが良いとする意見が多いですよね。
しかし、低めのスライダーの場合すくいあげる、つまりアッパースイングのような打ち方でスイングするのがコツです。
それが縦に落ちるスライダーを、「線で捉える」ための打ち方だからです。
アッパースイングは何かにつけて「悪いスイング」だとされることが多いですが、一球たろうは、低めのスライダーやカーブ、フォークといった変化球に最適なスイングだと考えます。
引き付けて引っ張れ
すべての変化球に共通する目的は、バッターのタイミングをずらすことです。
となれば、当然キレの良いスライダーとはいえ、ストレートよりも遅く、タイミングがずれています。
だからこそ、しっかり引き付けて打ちにいきましょう。
また、自分の身体に向かって来ているということは、インコースに近いということ。
これを引っ張らずして、どのボールを引っ張りましょう。「引き付けて引っ張る」これが、自分に向かってくるスライダーを打つコツです。
うまくいけば、打ちにくかったスライダーが得意になり、長打を打てるようになります。
引き付けて引っ張るイメージで、自分に向かってスライダーを打つことができれば、ピッチャーにかなりのトラウマを植え付けられます。
ツイスト打法のコツをマスターすればスライダーに対応できる
ツイスト打法は、タイミングをずらされても強引に変化球を叩ける打ち方です。
巨人の阿部選手は、ツイスト打法で有名なバッターでした。
ツイスト打法ができれば、スライダーで外されたタイミングも修正できますし、何よりバットに当てられる可能性が高まります。
一球たろうは、苦手な左投げのスライダーをこれで逃げていました。ちょこんと当てて、反対側に打つイメージですね。
下にツイスト打法を紹介しているので、ぜひ参照してください。
スライダーを打ちに行く際注意すること
スライダーの打ち方のあれこれをご紹介しましたが、最後にスライダーを狙う上での注意点をご紹介します。
これを知っておくことで、相手ピッチャーの手玉に取られる失態は犯しません。
スライダーに肩が開いてしまうと「負け」
とくにアウトコースに向かうスライダーに対して、ミートする前に自分の胸がピッチャーに見えてしまう状況(開く)になると「負け」です。
その状態からスライダーを打つのは、非常にむずかしいでしょう。というか、無理です。
スライダーやカーブなど、変化球の本質はタイミングを外すこと。
ミートする瞬間は、胸が流し打ちの方向へ向いているとき、と意識しましょう。我慢、ガマン、Gamanです。
スライダーの裏をかいてくるピッチャーに注意
スライダーは確かに勝負球にもなるし、ここぞというときにピッチャーが投げてくるボールです。
しかし、その裏をかいて「インコースにストレート」を投げてくるピッチャーもいます。これには注意したいですね。
その打席での意味を考えて打席に立ちましょう。
例えば「スライダーを狙っていることをアピール」するのであれば、インコースのストレートを見逃すのもありです。
次の打席で打つ定石ができますから。
一方追い込まれる前までに、スライダーを打つアピールをしておいて、勝負球のインコースストレートを狙う、という手もあります。
ここはピッチャーとの駆け引きですね。
カットで逃げる作戦も有効
これまで紹介したようなスライダーの打ち方があるとはいえ、それでもキレの良いスライダーは非常に有効で、空振りを取りやすい変化球です。
だからこそ、追い込まれたら徹底的に「引き付けて反対方向」へ打つ意識をして、逃げることもありだと思います。
必ずしもいつも同じ球をピッチャーが投げられるわけないですからね。
スライダーの次に投げる球種を考える
例えば勝負所で、スライダーをカットしたり、見逃してボールにしたとしましょう。
と、なると次の球種はなんだと思いますか?
あくまで一球たろうが見てきて感じたことですが、2球連続で同じコースにスライダーを投げるピッチャーは少ないです。
ということは、むしろ次の球を打ちにいくべきとも言えます。
あくまでもスライダーを勝負球としているピッチャーの場合ですがね。
しかし、勝負球という「自信のある球種」だからこそ、もう一球投げてくる可能性ももちろん否定できません。
中学生野球を10年以上見てきた一球たろうの、あくまでの感覚の話です。しかし、ここぞってときは感覚が頼りになることも…
スライダーの打ち方のコツをつかめば三振率が2割減少した!:まとめ
スライダーの打ち方のコツをつかんだ選手は、三振率が減少しました。
- 相手投手と自分の左右からスライダーの可能性を考える
- 高さを見極める
- 2ストライクからは反対側へ打つ意識
- 自分に向かってくるスライダーはアッパースイング
- ツイスト打法でタイミングを調整
- 開かない
スライダーの打ち方は、カウントや相手投手の投げ手によって変わります。
勝負球として使われやすいだけに、打席に立った時のスライダーの可能性を常に考えておきましょう。