この記事ではベース上に2人のランナーがいる場合、両者がタッチされたときどちらがアウトになるのか、野球のルールを紹介しています。
野球は思いがけないハプニングが起こるものです。
よく起きがちなのが、ランダウンプレーでベース上に2人のランナーがいること。この場合、両方にタッチするとどちらがアウトか分かりますか?
野球指導歴10年の一球たろうがご紹介します!
たまに起きるベース上に2人のランナー
スクイズだから、俺は突っ込まなきゃいけないな…ゴー!!!って失敗してるやん!!やばい。挟まれた!急いでベースに戻って…
俺はセカンドランナーだし、とりあえず三塁にいればいいかな…?あ。あいつも戻って来た。動かないのが正解かな…?
うう。どっちもタッチされた…
さて問題です!どちらがアウトでしょう?それともどちらもアウトでしょうか?はたまた、どちらもセーフ?
これに答えられない場合、絶対にこの記事を読み進めてください。とても大事なルールの話です。最悪の場合ゲッツーを取られることも…
ランナー二・三塁や一・三塁の状況で、エンドランやスクイズなどを仕掛けたとき、このパターンに陥ることがあります。
通常自分がベースを踏んでいる限り、タッチをされてもアウトになりません。
しかし、この場合だともしも「どちらもセーフ」なんてなると、プレーが進まなくなりますよね。なので、まず「どちらもセーフ」は不正解。
次の項で早速答え合わせをしましょう!
ベース上にランナーが2人いてどちらもタッチされた!正解は…
例えば二塁ランナーと三塁ランナーが、三塁ベース上にいるとしましょう。
図のような感じですね。この状況で、どちらのランナーにもタッチしたのであれば、アウトになるのは
二塁ランナーです。
はい。正解だった人拍手!間違った人はこの後の記事もしっかり見てね!(とっておきの作戦も伝えます)
ベース上にランナーが2人いる場合、占有権は誰にあるかが考えられる
ではなぜ、ベース上にランナーが2人いてどちらもタッチされた時、二塁ランナーがアウトになるのでしょうか。
これはベースの「占有権」というものが、1ベースにつき一人だからです。
これさえ理解すればよい!!
この場合、「ベースの占有権」というものが考えます。
基本的にベースの占有権は、一つのベースにつき1人。分かりやすく言うなれば、満塁の状況は一人のランナーに一つずつ「安全地帯」がありますよね。
しかしランナーの主張する「占有権」が、もしも被っていた場合、ベースを占有する権利は「先にいた方」と判断されます。
つまり二塁ランナーは「後に来た方」なので、ベースの占有権はなくなるのです。だから、ベース上に2人いる状況でどちらもタッチされたら、占有権のない二塁ランナー「のみ」がアウトになります。
もしも…もしもの話で…
三塁ベース上に2人ランナーがいる状態で、二塁ランナーがタッチされる直前に三塁ランナーが離れていたら…
その状況で例えば、①三塁ランナー(三塁ベース離れている)②二塁ランナー(三塁ベース踏んでいる)の順で2人がタッチされると
- 三塁ランナー:アウト
- 二塁ランナー:セーフ
となります。まあ、これは何となく分かりますよね。
当然これが逆で、三塁ランナーが三塁ベースを踏んでいて、二塁ランナーがベースから離れているならば、二塁ランナーのみがアウトです。
プロでも失敗する。ベース上に2人のランナー
この失敗例は、一塁ランナーと二塁ランナーが二塁ベース上ではち合わせたパターンですね。
守備側はどちらのランナーにもタッチし、審判はしっかり「一塁ランナーに対して(指差しまでして)」アウトを宣告しています。
そして、大失敗しているのはもともと二塁ランナーだった人が、一塁まで戻って行っちゃっていることです。本来このランナーには、二塁ベースの占有権があるため、二塁ベースにいていいのです。
逆に言えば、一度占有したベースにランナーは「戻ってもいい」ということになりますね(メリットはありませんが)。
ついでにこの動画をよく見ると、二塁ランナーは二塁ベースから諦めて離れている瞬間に、タッチされていますね(動画29秒あたり。審判が見逃しています)。本当ならゲッツーです。笑
ある意味プロでも一瞬何が何だかわからなくなるプレーということです。
野球ってこの点やっぱり、頭脳が重要なスポーツであることを思い知らされます。
ランナーがベース上に2人いるとき、守備側ならこれをやってみよう!
僕がチームにこのルールについて教える時、ついでに守備をしている際、この状況になったときの作戦を教えています。
相手ランナーがルールを知らないということを前提にすると、運が良ければゲッツーを取ることができる作戦です!
ここで、皆さんと共有できればと思います。(状況は、無または一アウト二・三塁とします)
ゲッツーを取るための作戦1:三塁ランナーのみにタッチ、しばし待つ…
ベース上に2人のランナーがいる状況を逆手に取った作戦です。
ランナーを追い詰めたとき、三塁ランナーのみにタッチをします。そして待ちます…笑
ルール上の判定では三塁ランナーはセーフであり、二塁ランナーもまだアウトにはなっていません。
もしもこの状況で、三塁ランナーが諦めベースを離れたとき、三塁ランナーをタッチしましょう(三塁ランナーアウト)。
さらに、重なって欲しい幸運は、二塁ランナーが「自分がアウト」と思って(タッチしていないのでセーフ)ベースを離れたら、二塁ランナーにもタッチ。
はい。ゲッツーの完成です。
あり得なさそうですが、起きうるプレーです。何しろ、一球たろうはその現象を練習試合で見ましたからね。
ゲッツーを取るための作戦2:三塁ランナー、二塁ランナーの順でタッチ
要するに先ほどのメジャーリーグでのようなプレーが起こることを期待します。
三塁ランナー、二塁ランナーの順でタッチすれば、二塁ランナーのアウトは確定しています。
もしも三塁ランナーが「自分がアウト」と思ってベースを離れれば、三塁ランナーにもう一度タッチをしましょう。
はい。ゲッツーの完成です。
この時のコツは、最初の三塁ランナーをタッチしたときに、大きな声を出して少々強め(妨害を取られない程度)にタッチをすることです。
二塁ランナーにはさりげなくタッチをしておきましょう。(せこい…)
ランナーがベース上に2人いるとき、ランナー側ならこれをやってみよう!
もしかすると、とっさに頭が働かなくなるかもしれません。頭が働かなくなったり、ルールをど忘れしたときは、次に紹介する項目をやってください。
ルールを覚えていたら、その次の項目で紹介することをやってみてください。
ルールど忘れのパターン
もしも、自分がランナーをやっていて同じようにベース上に2人になってしまったとき、ルールをど忘れして、タッチからは逃れられそうにないのであれば「絶対動かない」でください。
動かなければ審判がやってきて、「お前がアウト」ときちんとコールしたり、ランナーをプレーからつまみ出そうとします。
分からなければ、動かないのが得策です。
ルール覚えているパターン
逆にルールが分かっているのであれば、占有権が「ない」側のランナーがギリギリまで、ボールを持っている野手を引き付け、占有権のあるランナーがベースに戻った瞬間、全力で戻ってください。
野手はアウトは一つ取りたいはずなので、追いかけてくるはずです。
占有権がない方が戻るということは(例えば二塁ランナーが占有権がない側とする)、ホームから対角のベースでプレーが起きるということです。
つまり、三塁ランナーはホームベースに帰るチャンスがやってくるのです。
小学生だとかなり高い確率で、中学生だと中位くらいの大会であれば、ばたばた混乱しているときに対角にタッチしやすいボールを投げられる野手はそうそういません。
だから、二塁ランナーはなんとか二塁ベース周辺でのプレーまで粘り、三塁ランナーは隙を見てホームに突っこむのです。
しかも守備側には「コリジョンルール」を守る必要があります。ランナーはそこもきちんと見ておいてくださいね。
うわ~~何だか、どさくさ紛れにいろいろ仕掛けるんですね~~
何と、この作戦で三塁ランナーが生還した確率は100%だ!!まあ、チャレンジ出来た回数は10回くらいだがな。
でも数値が物語っていますね。やっぱり、どさくさ紛れってのがいいんでしょうか?
そうそうあるプレーじゃないだけに、頭がフル回転中だからな。まだ小・中学生ならメンタルまでは完璧に鍛えられていない。そこを突いた作戦と言えるな。教えておくことで、逆に守備側なら冷静に対処できるし。
なるほど。練習していて、損はないわけですね。
ベース上にランナーが2人!ルールではタッチされたらどちらがアウト?:まとめ
ベース上に2人のランナーがいて、どちらもタッチされると「占有権」の関係から、例えば三塁上に三塁・二塁ランナーがいる場合、「二塁ランナー」がアウトになります。
メジャーリーガーでも勘違いを起こすプレーなので、きちんと理解しておきましょう。
仮に守備側ならば、ベース上に2人のランナーがいる場合「二塁ランナーにタッチして待機」か「どちらもタッチして三塁ランナーの勘違いを待つ」作戦を取りましょう。
ランナー側なら「ルールが分からなければ動かない」「ルールが分かるのならば、占有権のないランナーは戻る」をやってみましょう。
一球たろうのチームでは、100%の確率で三塁ランナーはホームに生還することができていました。